sei l'unico che può rendermi felice.

花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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All you need is love. 13

All You need is love. 13





「俺も話していいか?」道明寺があたしを抱きしめたまま聞いてくる。


昔は構わず自分が話したい時に話してたのに、ちゃんと聞いてくるところも5年前と変わってしまったんだと、その知ることの出来なかった変化に泣きたくなってくる。


無言で頷いたのが分かったのか、道明寺が話し始めた。



「あのな、その話はあの日5年振りに会って、突然おまえが泣いて部屋を飛び出したあとに聞いてる。」


もう何回目の、えっ?だよね。


「あたし、いつ話したの?」



聞いてみれば、少し呆れた顔をしつつも、やはり優しい顔で道明寺は話す。


「おまえが泣いて飛び出したあと、すぐに追いかけたんだよ。ホテルを出る手前で捕まえたけど、走ったからか酔いが回ったんだろうな。顔色も良くねぇし、声をかけてもまともに返事もしないでずっと泣いててよ、」



恥ずかしい。今までお酒で失敗しないように気を付けてたのに、よりによって再開したあの日に初めての失敗。



「とりあえず落ち着かせようと、あいつらがどんちゃん騒ぎしてるのとは別の部屋に連れてったんだよ。そうしたら部屋に入るなり、ごめん、ごめんねって謝るばっかりでよ。」


思い出してるのか、クスクスと笑いながら話す道明寺。



「こっちが黙ってたら、おまえがな。あたし以外の誰とも結婚なんかしないでって言い始めてよ。最初は何のことかさっぱり分かんなかったぜ。おまえ以外の誰とも結婚も婚約すらした覚えはないんだからな。」


「でも、経済紙の一面に出てたよ。ゴシップ誌なんかじゃなくて。」


「そうだな。確かに掲載されたが、あれは誤報だ。俺の婚約者だなんて報道された御令嬢の父親が経営する会社と、契約するのに少し揉めててな。どうしてもその会社の技術がほしかったんだが、それを足元につけ込んできて条件の一つとして婚約をなんて話も出たのは本当だ。」


道明寺がいるのは、そういう婚姻関係を結ぶことが条件になるような世界なのだ。今までも、そういう話はあったんだろうけど、あたしが道明寺から直接聞かされることはなかった。



「まぁ話として出ただけで、んな契約するわけねぇ。そんなことで一々婚約してたら俺が何人いたって足んねぇよ。実際、本社でも婚約とかそんなニュースはリリースされてないしな。」


確かに支社長就任しか本社からはリリースされてなかった。



「ただ、今回それが報道として出たのは支社長就任と、それに伴う帰国とで情報が錯綜したんだろうが、契約前に嘘でも婚約の情報が漏れたことは問題だ。調査したら道明寺HDからじゃなく、相手側からリークされてた。まぁ大方、どさくさに紛れて報道でも出して既成事実でも作ろうとしたのかもしんねぇけどな。」その時のことを思い出してるのか、道明寺が苦い顔をしていた。



「契約途中だったからな、わざわざ否定コメント出して相手の機嫌を損ねて、契約破棄とまではいかないだろうが、こっちに不利な契約をする訳にはいかない。こっちも技術は欲しいが、相手も取引先の一つに道明寺財閥があるってのは一番のメリットだろ。契約前とはいえ、嘘の情報を流したってことは信用問題にも繋がる。まぁ結果的にかなりこっちに有利な契約してやったぜ。」


今の道明寺は得意顔で話す。テレビや新聞で見る道明寺は、いつもポーカーフェイスでクールなイメージだ。こんなに表情が変わる道明寺を、ずっと隣りで見ていられたら幸せだなと思う。



この話も、あの夜にしたんだぜ。まさか始めから全部覚えてないとは思わなかったが。」


今度は真面目な顔をして話す道明寺に見惚れていると、チュッと軽くキスをされた。そしてまた続きを話してくれた。



「あの5年前の時は、おまえから連絡がくることもないし、忙しい合間を縫って久しぶりに話せたと思ったら類のことばっかりで。誰が好きな女の口から他の男の話なんか聞きたいかよ。」


確かにごもっともで。あたしだって道明寺が他の女の話ばかりしてたら嫌だ。



「大学に仕事に、誰の為にやってんだって、めちゃくちゃ腹が立った。いつも俺から連絡するばかりなのも気になってた。だから、おまえから連絡が来るまで待つことにしたんだが、まさか5年も連絡が途絶えるとは思わなかったけどな。」


もう何回ごめんなさいを言っても足りない気がしてきた。本当にどうかしてたとしか思えない。



「連絡がない間も、おまえのことは調べさせてたし、あきらたちも事細かにお前のことを知らせてくるしよ。勉強も就活も就職も頑張ってたのを知ってる。連絡こそないものの、きっと俺の為だろうって。おまえは集中すると周りが見えなくなるからな。」




道明寺は、あたしを見てくれてた。連絡がなくても、理解ってくれてた。本当にあたしはバカだ。美作さんたちも普段はふざけてあたしを揶揄ってばかりだけど、きっととても心配してくれてたんだろう。



「俺もお前に負けないようにと我武者羅にやってきた。でもここまで連絡がないと俺も意地になってきて、絶対連絡なんてしてやるかって思った。」


「約束の4年だって覚えてた。でもおまえからは何の連絡もなかった。どうして迎えに来ないんだ!って文句の一つでも言ってくれれば、すぐに会いに行くつもりだったんだけどな。」




そういうことだ。


恋愛は2人でするものなのに、あたしはいつまでも受け身でしかなかった。でも5年間連絡がなくても、こうやって会って話が出来るのは、あたしも道明寺もお互いを想う気持ちが切れなかった、ただそれだけなのだろう。



「理解ってたつもりだった。けど、あまりに連絡がないもんだから、多少は不安になった。俺の為に頑張ってるんだろうなんて、俺の主観でしかない。直接おまえから話を聞いたわけじゃないからな。日本とNYで距離も時差も、連絡なしじゃ何も埋められない。もしかしたら、俺の知らないところで他に男が出来て、いつの間にか俺の為じゃなく、そいつとの将来を見てるんじゃないかって。」



知らなかったよ。道明寺も不安になることあるんだ。


しかもそれがあたしのことでだなんて。




「まぁ、もし本当にそんな男がいたらブッ殺すけどな!」


こわっ!




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