All you need is love. 14
All You need is love. 14
「それで、やっと帰国が決まって久しぶりに牧野にも会えるぞって、あきらたちが何のパーティーだか知らねぇが企画してた。
なんであいつらに計画されないとお前に会えないのか意味分かんないけどな。
それでも西田に無理矢理スケジュール空けさせた。 俺だって5年も連絡してなかったから、正直どんな顔して会えば良いのかと考えた。」
ごめん、道明寺。西田さんもゴメンナサイ!
「あいつら、あきらや総二郎も随分おまえには俺に連絡しろ、会いに行けって言ってたみたいだけどな?」
そうだね、会うたびに言われてた。もう頷くことしか出来ない。
便りがないのは無事な証拠とか言うけれど、いまこの時代電話もあるし、メールだっていくらでも出来るのに。
「だから俺が件の御令嬢と婚約なんてしてないのも、あいつらは知ってる。仕事の都合がほとんどだが、おまえに比べたらまだ連絡は取ってたほうだ。」
ですよね。なんせあたしからお願いして道明寺に連絡させたしね。
ん?婚約してないって知ってた?
「じゃあなんで婚約おめでとうパーティー?」
婚約してないのに、わざわざパーティーを称してまで何がしたかったの?
「あいつらは俺の幼馴染みだから。結局5年も牧野と連絡を取らずにいたことも知ってるからな。
いつまでも連絡取ろうとしないおまえに意地悪でもしたつもりだったんだろ。
まさか話す間もなく泣いて部屋を飛び出すとは思いもしなかったみたいだけどな!」
わははと笑う道明寺。
悔しいと恥ずかしいが混ざって、絶対変な顔になってる。
それにしてもアイツら!
報道が間違ってるって分かってて、そんなことするなんて。
あれであたしは打ちのめされたんだけど!と憤慨してみるけれど、あのパーティーがなければ道明寺とは会えずに、こんな風に話すこともなかったんだろうと思えば、それも瑣末なことに思えてくる。
「これも話したんだけどな。覚えてないか。あとは?他に聞きたいことあるか?」
何よりも一番、肝心なこと聞いてない。
「あんたのお母さんは…?」道明寺はニヤリと笑って、
「ババァな、驚きだぜ?4年の約束をまさかババァが覚えてるとも思わなくてな。」
ある日呼び出されて、
「あなたはいつまでもNYで何をしているんですか?彼女はしっかりと自分の力で立っているのに、約束の年になっても迎えにも行かずぼんやりと。なんの意地を張っているのか知りませんけれど、早くしないと逃げられますよ。」と言われた。
そして渡された二枚の紙。
一枚は日本支社長就任の辞令。
「牧野。おまえさ、本当にあの夜のこと何もかも覚えてないのか?」
何回聞かれても覚えてないものは覚えていない。
思い出せてたらこんなに悩まないし、泣いてない。
首を横に振ると、道明寺はスーツの上着の内ポケットから一枚の紙を出し、広げて見せられたそれは。
婚姻届。