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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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You belong with me. 3


You belong with me. 3




あたしの憩いの場、非常階段。

高校の時とは景色も雰囲気もかなり違うけど、あたしには必要な場所。今日も今日とてあたしは叫ぶ。



「道明寺ー!」

「道明寺のばかー!」

「道明寺ー、なんでよー!」

「道明寺の、女たらしー!」



先日、出席したパーティーで以前に道明寺のパートナーを務めた御令嬢に絡まれた。

化粧室に入った途端、後ろから声をかけてきて、また何を言われるのかと思ったら、秘書のくせに図々しいとか、秘書のくせにでしゃばり過ぎとか、秘書のくせに厚かましいとか。

秘書のくせに秘書のくせにって賑やかなお嬢様だった。

もう少し口を謹んだほうが良ろしいのでは?なんて心で突っ込みを入れながら、ウフフと微笑みスルー。

前は一人ひとり対応してたけど、楓さんに時間の無駄と言われた。それからは無視はしないけど、返事をしないで微笑むだけにした。

そうすると、『お仕事でしか司さんのお側にいられないなんて、お可哀想ね』とか言われる始末。

やかましい。

あたしは秘書として仕事をしているだけなのに、なんでそこまで言われなきゃいけないのか。



「楓さーん!どうしてですかー!」

「つらいよー!」




「牧野、お前ババァのこと楓さんなんて呼んでんのかよ。」

カツンと革靴の音が聞こえたと同時に道明寺の声。


「副社長、盗み聞きは悪趣味ですよ。」



ビックリしたー!!

いきなり現れたけど!いつの間に?!

今まで誰も来たことなかったのに、選りに選って道明寺!

無表情で振り返ってみるけど、大丈夫かな?!今回ばかりは動揺が顔に出てそう!


「てめぇの俺に対する文句に比べたらマシだろ。」

えー、最初から聞かれてた?

ヤバくない?結構言っちゃってるよ、あたし。道明寺って呼び捨てしてるし。


「少し外の空気を吸いに来ただけなのに随分なこと聞いたなぁ?しかも女たらしとは聞き捨てならねぇな、牧野?」

こわぁい。

コイツ怒った顔はちょっとこわいんだよね。本当にちょっとだけど。



「それは仕方ないんじゃないですか?

パーティーでパートナーを務めた女性たちと毎回楽しんでいる様ですし。」


そうなのだ。パーティーのあと、あたしは即!現地解散!そしてなぜか道明寺家のリムジンがお迎えに来て、あたしだけ帰されるのに、あたし以外の時は高確率でスクープされている。

お盛んですね!!もうやだ!


「おい、それは誤解だからな!あれは俺とのスクープ写真を撮らせて話題作りに使われたり、俺と関係を持ったように見せかけて婚約を迫ってきたりだな!」


「副社長。言い訳する男ほど、みっともないものはないですよ。それに、私に誤解されても困ることなんかないと思いますけど。」と冷たく言い返してみる。


!言い訳じゃねぇよ!そもそも俺と一番噂になってんの、おまえだろうが!」


「おまえって誰ですか。私には牧野という名前。」いつものクセで呼び方の突っ込みをしてしまったけど、コイツ今なんて言った?


「副社長。噂とは一番程遠い私を揶揄っても何もならないですよ。それに、どのような噂かは知りませんけれど、その噂が本当だとして、なんで私が副社長と噂にならないといけないんですか。」


俺と噂になって嫌がる女、お前ぐらいじゃねぇ?」と顔を顰めてあたしを非難する。

なにこの自惚れ屋!意味分かんない!


「そもそもに。そんな噂、聞いたことないですけど。」と反論してみるも、

「そりゃ噂なんて、本人にはなかなか届かないもんだが、なんで噂になるのか本当に気付いてないのか?」



どういうこと?

なんで秘書がパートナーとしてパーティーに出ただけで噂になるの?秘書がパートナーって普通じゃない?

そもそもにあんたも当事者なのに、あたしだけ知らないって何よ!


ジッと黙って考えていると、道明寺は呆れた顔をした。

「おまえマジで気付いてなかったのか!

鈍感にもほどがあるぞ。よくそれで俺の秘書やってられるな。スケジュール管理はお前の仕事だろ!」


道明寺がクルクルの髪の毛をかき上げた時に見えた腕時計。チラリと見えた時刻。

はっ!と、こんなこと話している時間がないことに気が付く。

「副社長!次の会食の時間が迫っています!早く戻ってください!」道明寺の背中をグイグイ押して、移動を促す。


「おっ、おい!まだ話は終わってねぇぞ!」

道明寺が叫ぶけど、今はそれどころじゃないから!

「お話はあとです。先にお支度を!」



なんとか間に合わせて道明寺を見送る。

少し遅れそうになったから、一緒に現れたあたしを見た西田さんに無言の圧力を受けた。

スケジュール管理担当のあたしが道明寺の予定を狂わすなど、あってはならない。

それにしても何であたしと噂になるのか。

話はあとでと言ったけれど、道明寺は今日は会食が終わったら直帰だ。

明日は朝からNYに出張でいないから聞くことも出来ないし、少し自分で調べてみるか。







「ということで、手っ取り早くあんたたち呼んだんだけど」

噂を聞くなら、この2人が適任だろうと美作さんと西門さんを誘って飲みに来た。お店の予約をしてくれたのは美作さんだ。


今や次代の経済界を担うイケメン御曹司として、美作さんと類は持て囃されているし、西門さんもルックスを活かして茶道を世界に広めるとか言って、頻繁にメディアに出て活躍している。

こんな人たちが話をすれば、いつも誰かがどこかで聞き耳を立てている。

ましてや今日は道明寺の話。こういう時は信頼の置けるお店の個室になる。

今日はメープルホテルのバーで待ち合わせ。ここは楓さんのお膝元だから、他に比べたら全然安心だ。

類は誘ってないけど、西門さんに聞いて付いてきたらしい。

類はパーティーとか嫌いだから、そういう噂は知らないだろうと思ったんけど。




「俺達を手っ取り早くとか言って呼べるの、お前だけだからな!」と西門さんに睨まれる。


「牧野、ありがとう。おかげで会議に出なくて済んだよ。」

類は今回誘ってないけど。

仕事したくないからって!そういう勝手な行動して、秘書がどれだけ大変か分かってないんだから!

「それで?牧野は俺らに何を聞きたいんだ?」美作さんが切り出してくれたので、率直に聞いてみる。


「最近、道明寺と私の噂があるらしいんだけど、知ってる?」

聞かれた3人はキョトンとして顔を見合わせた。


「牧野、お前は今まで知らなかったのか?」美作さんが少し呆れたように聞いてくる。

類まで訝しげな表情で見てくるけど、みんな知ってたの?本当に気付いてなかったの、あたしだけなの?!


「え、こないだ道明寺から、俺と噂になってるのはお前だって言われたんだけど、私はそんな噂自体が初耳で。」


ハァッと大きくため息をついた西門さんは、

「マジでお前さ、他人の事には敏感なのに、自分のことになると急に超鈍感になるの何なの?てか、司の秘書やってて司の噂を知らないってヤバいだろ。」

そこまで言わなくても良くない?だって本当に噂なんて、聞いたことないもん。西門さんひどくない?


「俺と噂になって欲しいんだけどな。」

どんな噂か知らないけど、あたしの隣に座ってワインを飲みながらのんびり話す類は、ほとんどパーティーに来ない。

たまに来ても、のらりくらりとお偉方の話を躱しながら、気付くとあたしの横にいたりする。



「ちょっと!その噂の内容を知りたいんだけど!」あまりに話が進まなすぎてイラッとする。


「おい、そんな怒るなよ。司んとこでクールに仕事やってるかと思ったらプライベートはこれだもんな!」


「うっさい西門!早く教えてよ!」ギロッと西門さんを睨んでみれば、


「教えてもらうのにヒデェ言い草だなお前は!

あのな、お前は司の秘書をやってるが実は婚約者で、楓社長の計らいで司の側に置いてるんじゃないかって。」

西門さんも負けじとあたしを睨みながら文句を言いつつ、噂の話をしてくれた。けど!


「ちょ、ちょっと待ってよ、何その噂!なんでそんな噂になるの?!」

思わず立ち上がって、正面に座る美作さんのネクタイを掴んでガクガク揺さぶってしまった。

「や、やめろ牧野!落ち着け!」と美作さんがあたしの手を離そうとするけど、これが落ち着いていられるか!

ただの秘書のあたしが、どうしたら道明寺の婚約者になっちゃうの?

類はテーブルをパシパシ叩きながらケタケタ笑ってるし!西門さんはあたしの激昂ぶりに腰が引けてるし!



「私はそんな理由で道明寺の秘書になったんじゃないわよ!あたしが秘書になったのは、むしろその逆で、婚約者になれるわけないってあたしに知らしめる為のようなものだもん!」




「牧野、それどういうこと?」

類の冷たい声が、あたしを射竦める。


うっかり口を滑らせてしまった。

類が冷たい目であたしを見てる。こわい!西田さんよりこわい!あのビー玉のような綺麗な瞳が今はこわい!

「どういうことだ?」と美作さんと西門さんも訝しげな目であたしを見てる。そして美作さんが口を開いた。



「牧野、前からおかしいとは思ってたんだ。

司の記憶喪失のことがあってから、しばらくして牧野と連絡を取らないようになっただろ?

俺らといると司を思い出して嫌なんだろうと思ったし、あの時は牧野の気持ちも考えずに頑張れって言い過ぎたなって、3人で見守ることにしたんだよ。大学まではよかったんだけどな、その大学も疑問だった。」美作さんが真面目な顔で話を続ける。



「おまえんち、ビンボーだったろ?高校だって通うのに大変でバイトしてたのに、そのまま英徳高校を卒業して英徳大学に内部進学した。

相変わらずバイトもしてたみたいだけど、なんでもっと学費の掛からない公立大学に行かなかったのか。お前は成績も良かったから奨学金を受けて公立大学も行けたはずだ。それに、道明寺家の影響が大きい英徳は嫌なんじゃないかとも思ってたんだが。」


「疑問ではあったが、俺らがまだ近くで見守れる距離だったからな。そのほうが都合が良かったし、その時はそこまで深く考えなかった。それで英徳大学は首席で卒業したろ?お前は元々真面目で勤勉だ。流石だと思ったよ。そのあと就職はどうしたのかと思ったら、そこからお前の足取りがパタッと消えた。」


「あの時はビックリしたな。

今まで連絡を取ってなくても近くにいたから安心して油断してた。」西門さんも首を傾げながら話す。


「そこからは美作、西門、花沢で調べても、お前の行方が分からなかった。」

知らなかった。みんながそこまであたしを気にかけて心配して見守っていてくれたことも、探してくれていたことも。


「ここまでして見つからないのは、誰かが牧野を隠してるんだろうという結論になったよ。」

知らなかった。まさか楓さんが、みんなからもあたしを隠してたなんて。


「そうしたら、まさかの司の秘書として再会だ。記憶の戻ってない司が、お前をどうこうするわけないしな。これは司のお袋さんが関わってるんだと確信した。

道理で俺らが探しても見つからないわけだよ。相手はあの道明寺なんだからな。」

美作さんは苦笑いしながら、あたしを見る。なんだか本当に申し訳なくなってきて、思わず俯いてしまう。


「それでも、あんたが司の横にいても元気にしてたからね。でも何年も連絡もくれないのは悲しかったよ、牧野。」ニコッと類が微笑む。でも目が笑ってない。こわい!


「ご、ごめんなさい。まさかそんなにみんなを心配させてるとは思いもしなくて。」チラッと3人を見ると、また美作さんが話し始めた。


「まぁ元気でいるならと、今までどうしてたか聞かなかった。お前から話してくれるのを待ってたのもあるけどな。

そうしてたら、一年か半年くらい前からか?司とお前の噂がまことしやかに流れ始めた。」








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