sei l'unico che può rendermi felice.

花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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You belong with me. 11


You belong with me. 11





「あんたの前で笑えるわけないでしょ10年前あの島で、離れないでって言った!あんただって道明寺家を出るって!それなのに、あたしだけよ?!

あたしだけ忘れられて、邪険にされて、別の女を近くに寄らせてるのを見てた!楓さんには誓約書にサインまでさせられて監視まで!あんたには忘れられてるのに!」


「ここまでされたら意地でも道明寺家に食らいついてやろうと思った!それこそ秘書として辞令が出た時、最後はここで知り得た道明寺財閥の情報を使って、楓さんたちを脅迫して!それでもあんたの側にいようとした!

あんたのことが、好きで、大好きで、忘れられなかったからよ!」




ただ、それだけだった。



「でもそれは、楓さんたちが道明寺からあたしを離そうとした時で、記憶を戻しても戻さなくても、あんたがあたしを拒否さえしなければ



道明寺に拒否された。

一度目は記憶喪失になってすぐ。ニ度目は秘書になって無視された。三度目は、これだ。

記憶が戻っても拒否されたら、もう、どうしようもない。

脅迫して無理矢理あたしと結婚させても、それは政治的なものがないだけで、やってることは政略結婚と同じだ。

それでは意味がない。




あたしが欲しいのは、道明寺の気持ちだ。




「好きなのに、あんたにそれを伝えることもできない!言ったら、楓さんたちに勘づかれたら、また道明寺と離されると思ったから…!

それなのに、10年前と同じことを、類なら幸せにしてくれるだろうなんて、他の男をあてがうみたいに言われて!あんたに何度も拒否されて耐えられるわけない!あんたに、道明寺に避けられたらっ、」




道明寺の側にいたい。その為だけの10年だった。




「これは道明寺のせいなんかじゃない!あたしが、自分で選んだことなの!

あたし以外の、他の女と結婚なんて許さない!記憶を戻さなくても、あんたが側に置いても良いと思える女はあたしだけ!そう思って10年やってきたの!」



「あんたは、あたしの男なんだから!」



他の男になんか目が向くわけもない。

記憶が戻って尚、道明寺に拒否されたら、もう一生恋愛も結婚しないつもりでいた。

それほどまでに。



あたしの計画も、一か八かの博打だと途中で気が付いた。

全ては道明寺本人に近づけるようになるまで、道明寺に恋人がいないこと、そして婚約をしないことが大前提だったからだ。

今、改めて考えてみても、楓さんたちの思惑がなければ、記憶を失ってすぐに政略結婚なんて簡単にできたはずで。

道明寺だって、記憶がないのだから、恋人なんていくらでも作れた。


そうならなかったのは、たまたま運が良かっただけ。


たらればで計画して、どんな覚悟をして努力したとしても。あたしだけでは、どうにも出来なかった。やはりあたしは世間知らずの小娘で、努力すれば報われるなんて理想でしかなかったのだ。



道明寺が好き。

これだけでどうにかしようと思っていたのだから。




「やっぱりお前はバカだ、」

道明寺がポツリと呟いた。



「あたしの10年をバカだって言っていいのは、あたしだけよ!本当にバカみたい。あたしを忘れたあんたを嫌いになれたら、もっと楽だったかもしれないのに。」


これで最後にしよう。これでダメだったら、




「ねぇ、道明寺。もう一回、あたしを好きになって。」






「バカだな


ダメだったら、もう本当に諦めるしか、ない。



「今のは違うぞ。俺が、バカだったんだ。

なぁ、前みたいに、また一緒に笑って話せるようになるか?」



あたしが望むことは、ひとつだけ。



「あたし、道明寺がいないと思いっきり笑えないみたいなの。それに、なんの為の10年だったか、聞きそびれた?」


「聞いてたよ。牧野、こっち来い。」

ベッドと出入り口の扉の間あたりに立っていたあたしは、数歩進んで道明寺に近付く。


「もっとこっち来い。」

そう言って道明寺が手をこちらに伸ばすから、ベッド脇まで行く。


道明寺があたしの両手を取り、繋ぐ。

10年振りに触れる、道明寺。


大きい手。10年前、この手が繋がれる度に安心できた。




道明寺。今度こそ、あたしはこの手を繋いで一緒に歩いていきたい。




道明寺が真っ直ぐにあたしを見てるから、あたしも真っ直ぐ道明寺の瞳を見つめる。


「牧野。お前、今も、10年経っても俺のことが好きか。」


何聞いてくるのこの男。本当に話を聞いてなかったのかな。まだ記憶がおかしいのかな。


「記憶が混乱してるんじゃない。お前の話も聞いてた。

言え。俺のことが、好きか?」



道明寺。

あの時、言えなかった言葉があるよ。

恥ずかしくて、素直になれなかった過去のあたし。

そのまま10年も経ってしまった。





「愛してる。」





昔も今も、一人だけを。




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