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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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You belong with me. 12


You belong with me. 12




あれから、あたしと道明寺はちゃんと話をしたかと言えば、出来なかった。

結局、あの後すぐ、道明寺の返事を聞く前に部屋がノックされて、入ってきたのは看護士さん。

面会時間が過ぎてるのに騒がしくしたことで怒られ、病室を出るまで見張られてしまって、あたしは大人しく家に帰るしかなかった。



翌日早朝、西田さんから連絡が来て、

「今日一日、楓社長に同行することになりまして、病院には行けそうにありません。お休みのところ申し訳ないですが、牧野さんは副社長の退院手続きなどお願いします。今回だけはこちらでスケジュール変更しますから、あとで確認はしてください。」

と言われた。


昨日の今日で気まずいと言うか、恥ずかしいと言うか。

行かないわけにもいかず、一応スーツではなく、シフォンブラウスにフレアスカート、カーディガンを羽織って、そのまま出勤しても大丈夫そうな服装で行く。


これは仕事だ!昨日は休みって言われたけど、西田さんに頼まれたことだし、今はやはり仕事だと思っているほうが冷静に道明寺と話せそうだと気合を入れて病院へ行く。

すぐに退院手続きを済ませ病室へと向かい、扉の前で胸に手を当てて深呼吸。

よし、大丈夫。



ノックをして名乗ると、入れと返事がきたから扉を開けたら、着替え途中で上半身裸の道明寺。

「ぎゃっ!」と思わず叫んでしまった。慌てながらも、すぐに扉を閉めてくるりと体を反転させ、道明寺から目を逸らす。


「おまえ27にもなって男の上半身裸ぐらいで叫ぶなよ。」

道明寺は呆れ顔で言ってそうだけど、そんなこと言われても!


「すみません。この10年、男性とお付き合いしたことがありませんでしたので、見慣れていないものですから。」


ずっと道明寺だけが好きだったから、誰とも付き合おうなんて思わなかった。

大学卒業までは実家暮らしで、NYの時は道明寺邸にいた。日本に戻ってからは一人暮らしだから、男の人の裸なんて滅多に見ることなかったし。



「は?10年間も誰ともか?」


「そうですけど?お付き合いを申し込まれたことは何度かありましたけどね。」


実際、大学の時から道明寺の秘書をしている間までも、あたしの何が良いのか、何人かにお付き合いを申し込まれたのは確かだ。

それまで会えば世間話をする程度の人、と認識していたから、そんな素振りも全然気付かず、申し訳ない気持ちになったものだ。



「そういえば。副社長はNYにいる時からお盛んなようでしたからね。裸を見られることくらい、何ともないんでしょうけど。」

そう言ってみれば、焦ったように道明寺が言い返してきた。


「あれは誤解だって昨日言っただろ!お前、話聞いてたのかよ!」

「誤解かどうかはともかく、別に気にしてませんので。それよりも副社長、早く着替えを終わらせてもらえません?退院手続きは終わりましたので、お荷物運びますよ。」


着替え終わるまで病室の扉を眺めなきゃいけないあたしの身になって欲しい。

せっかく見るなら、あの大きい窓から都内を一望したいのに!


「おい!」

「私の名前は、おい!ではありません。」

「クソッ!牧野、その話し方やめろ!」

「副社長!着替え終わりました?!」


昨日は甘い空気が漂いそうな雰囲気だったけど、結局こうなるんだ。

今は昨日と違って、あたしのことを拒否してるわけではなさそうだけど、やっぱり10年前とは気持ちが違うんだろう。



その時、あたしのスマホに着信を告げるバイブ音。

咄嗟に名前を確認もせずに通話ボタンを押す。「もしもし?!」と勢いで出て言えば、電話の相手は類だった。


『こわっ!どうしたの?なんかあった?』

「類!ごめんね、ちょっと今は病院にいて。」

『病院?大丈夫なの?』

「うん、特別室だから通話は大丈夫だよ。病院もあたしが罹ってるわけじゃないから。」

『あぁ、司の記憶でも戻った?』


えっ。なんで分かったの?!とびっくりして、咄嗟に言葉が出なかった。



一瞬、道明寺の存在を忘れていて、気配を感じて振り返れば目の前に道明寺。

いつの間に私服に着替え終わっていたのか、すぐに反応出来なかったあたしと違って、道明寺はあたしのスマホを奪い取って話し始めた。


「類か?今日はもう電話してくんなよ!」

そう言うと通話を切ってしまった。



「ちょっと!なにするんですか!」

「俺が知らねぇのに、類が知ってるってのが気に食わねぇ!」


何の話をしてるんだコイツは!


「少々意味が判りかねますけど。」

「俺はお前の番号知らねぇ!」



そりゃそうだ。今のはプライベート用で、道明寺は仕事用の番号しか知らない。


「知らないからって何か問題あります?今まで困ったこともないですし、仕事用ので十分ですよね。」

「問題大ありだろうが!これから結婚すんだろ!」

「はいはい、上司命令ですからね。もう帰りますよ。今日のご帰宅は?お邸で良いですか?」

荷物を持って病室を出ようとしたら腕を掴まれ、 勢いそのままいきなりキスをされた。


冷静に!今は!仕事中!

道明寺の胸に手を置いて、腕を突っ張って唇を離す。


「セクハラですか?」と睨んで言えば、

「おまえ、この10年付き合った奴いなかったとか嘘だろ。」って言われた。憤慨。


道明寺の胸辺りにドン!と荷物を押し付け、「お元気なようなので、私は帰ります。お荷物もご自身でどうぞ。明日からのスケジュールは後でメールで送ります。それでは!失礼します!」




なにあれ!

やっぱり昨日の話、聞いてなかったんじゃない?!一日経って、また記憶喪失にでもなっちゃったの?!


ドスドスと音を立てんばかりに歩いていたら、後ろから、

「ちゃんと昨日の話は聞いてたって言ってんだろ。二度と記憶なんてなくすか!じゃなかったら、おまえと結婚とか言うわけないだろうが。」


いつの間に道明寺!こっちは早足で歩いてるのに、道明寺は悠々と隣を歩く。


「タクシーは呼んでありますので。」

「おい、いつまでそう言う口調で話し続けるつもりだ?」

「私は牧野です!仕事ですから!」


エレベーターに乗ってる間も喧嘩腰の会話は続く。


「おまえ、仕事で結婚すんのか。」

「副社長がそうお望みなのでは?そもそも、あたしは副社長の恋人でもなんでもないですから!今のところ、それ以外で結婚する理由、副社長にはないですよね?!」



エントランスで2人一緒に呼んでいたタクシーに乗り、運転手さんにお邸の住所を伝える。しかし横から道明寺がマンションに行き先を変えるように告げた。


「ちょっと!副社長は退院したばかりなんですから、お邸でお世話されてたほうがよろしいですよ!」


一人で何もできないだろうと思って言ったのに、「うるせぇ!」の一言で、あとはマンションに着くまで、ずっと目を瞑ったままダンマリだった。




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