sei l'unico che può rendermi felice.

花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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You belong with me. 15


You belong with me. 15




結局、次に起きたらもう夜だった。

お腹空いた、と思って目覚めてみれば、今度は道明寺がしっかりとあたしを抱きしめて一緒に眠っていた。


相変わらず綺麗な顔。長い睫毛に、真っ直ぐな鼻筋。

そしてクルクルでフワフワの髪の毛。

こんな近くに、道明寺がいる。

嬉しくて嬉しくて、クルクルの髪の毛をフワフワと触りながら、ふふっと笑みが溢れる。


幸せだなぁ。




そして唐突に思い出す。

仕事!

ガバリと起き上がれば、つられて道明寺もゴロンと転がった。


「おい、まだ寝てろよ。」

と道明寺が寝ぼけ眼で言ってくる。

かわいい!こんな顔もするんだ!って眺めていたいけど、仕事!


「副社長!明日のスケジュール、確認しました?!」

その格好で副社長って呼ばれるの、結構クるセリフだな。」

寝転がったまま道明寺がニヤついた顔で言うから、改めて自分を見ると何も着てない!


「ぎゃ!ちょっと、なんか服は?!」

慌ててシーツを手繰り寄せて身体を隠しながら聞くと、道明寺は起き上がってバスローブを羽織り、服を取りに行ってくれた。

渡されたのは道明寺の大きいTシャツ1枚。とりあえずそれを着て、自分のカバンは、リビングだ!


急いでカバンの中からタブレットを出し、ダイニングテーブルの上で起動させる。

いくつかメールが来てたけど、緊急のものはなかった。

そのまま明日のスケジュールを確認する。

全部西田さんが作り直してくれてる!代わりに処理してくれるとは言っていたけど、これは謝罪とお礼をしなければ。


ブツブツ言いながら確認していると、後ろから手が伸びて来て、するりと内腿を撫でられた。

ペチン!とその手を叩いて、


「ちょっと!いま仕事の確認してるんだからやめてよ!」

と言えば、首筋に顔を埋めて今日は休みだろと更に奥へと指を滑らせて来る。


「もう!いい加減にして!あたし、初めてって言ったでしょ!もうしんどいの!」

「俺だって初めてだったんだから、しょうがねぇだろ!」



は?あんた今、28歳だよね?

いや、年齢でとやかく言うことじゃないけど!今までの女性たちはどうした!


「また!そんな嘘つく必要ないって。」

「お前、まだ誤解してんじゃねぇだろうな?」


道明寺が睨んでる気がするけど、後ろからあたしを抱きしめて、まだ内腿を撫でている。直接触れられてないのに、ゾワゾワしてしまう。



「だから、誤解って何よ!」

「今までの噂だのなんだの、どこかの女とは誰ともシてねぇからな!」


ふっ、笑える。


「本気にしてないだろ。」

「当たり前でしょ!別に気にしないことも、ないけど…。そりゃ、ちょっとは…本当はかなり嫌な気持ちにはなるけど、そんなの、あんたの記憶がない時期のことなんだし。あたしは、ずっと道明寺の側にいられるならそれで良いし、それであんたがあたしを好きなら文句ないもん。」


「牧野、やっぱり無理。」


え、何が無理?結婚が?!嘘でしょ、なんで?と一人戸惑っていると、首筋を舐められ、Tシャツの上から胸を、


「だから!やめてって!」

身を捩って道明寺と向き合うと、チュッとキスをされ、「無理って言っただろ。」と今度はお尻を撫でられ掴まれる。


無理って、こっちか!


「やぁだ!本当にあたしが限界だってば!」

「俺も限界。」と固くなったモノをバスローブ越しに下腹部に当てられる。

ひっ!何コイツ!


「ちょっと!せっかく、明日はあんたの記憶が戻って初めての出勤なんだよ?一緒に仕事行きたい。」

あたしを抱きしめたままの道明寺を見上げながら、恥ずかしいけど素直に言ってみる。


「むり。それ、明後日にしろ。」

そう言って道明寺はまた、あたしの唇を食べた。










信じらんない!

あたし初めてって言ったよね?!

流されちゃったあたしも何も言えないけど!

一緒に仕事行けるの楽しみにしてるのに。

結局、何の話もしてないし。


あのあと、立ったまま道明寺に翻弄されてしまった。恥ずかしい。

なんでアイツあんなに元気なの?昨日今日、入院してたとか嘘でしょ!


道明寺は足腰立たなくなってしまったあたしをお風呂に入れ、着替えをさせ、ご飯を食べさせてくれた。

こんなに甲斐甲斐しい人だったのかと驚いた。



今あたしはやっとご飯を食べ終わって、お腹も落ち着いたところ。

リビングのソファにちょこんと座らされ、道明寺はあたしを後ろから抱えるようにして座っている。

今なら話せそう。


「道明寺はさ、なんで10年も忘れてたのに、あたしのこと好きだと思ったの?」

そう聞いてみれば、ぽつりぽつりと話してくれた。




「刺されて退院してから、俺が記憶の一部を失っているっていうのは聞いたが、俺が何を忘れているのか誰も教えてくれなくてな。忘れてるんだから、何も分からないんだ。思い出そうっていうものでもなくて、ないのが日常だった。

夢もNYにいる時から見始めてたし、夢を見たあとは気持ちが落ち着いてることが多かった。ただ、それは高校時代を懐かしんで見てると思ってたんだ。」



「日本に帰国してからは、本当に最近まで頻繁に夢を見てた。その夢の中に高校の非常階段がよく出てくるんだが、そこにはいつも類がいて、顔の見えないやつと一緒に笑ってるんだ。」


高校の非常階段は、あたしにとって大事な場所だ。あそこで類に会わなければ、英徳なんて辞めていたかもしれない。


「そいつの笑顔が、常に類に向けられてて、なんで俺には笑わないんだって思ってた。」

思わずクスリと笑う。当時のことを思い出し、そんなに気にしてたんだと知った。


「お前が秘書として来てから、また夢が変わったんだ。そいつが顔までは分からなくても女だと分かった。しかも、その女が俺を見て「道明寺」って呼び捨てた。俺を「道明寺」なんて呼び捨てにする奴、今までいないからな。でも夢の中の俺は、それを当たり前に受け入れてた。」

あたしだけの呼び方だったね。他にあんたを道明寺なんて呼び捨てにする人見たことない。


「夢のせいもあるとは思うが、なんとなくだ。仕事中だったけど、息抜きに非常階段へ行った。そしたらお前がいたんだ。大声で叫んでてな、「道明寺」って呼び捨てにしてるし、なんだか文句ばっかりでよ。何回かそんな場面に遭遇した。部下にだって息抜きは必要だ。黙認してたんだぞ。」


あれが初めてじゃなかったんだ。バカとかクルクルとか言っちゃってたことに気が付いて、少し気まずい。そんなあたしに道明寺はまたギュッと強く抱きしめる。



「正直戸惑った。夢の中の女と牧野が重なったような、似てるような気がしたからな。同じように俺を呼び捨てにして。

おまけに現実でも類が仕事で訪ねてくる度に、お前と笑顔で話してる姿に夢が重なって何度も苛ついた。あの類が、女相手に笑ってて、その相手は俺の前では笑わない牧野だ。」


「夢と現実が重なって、あまりにも似てる状況に、なんでこの夢ばかり見るのか、俺の高校時代に失った何かの記憶が関係してるのか確かめたくてな。暇さえあれば何度も非常階段に行った。それでもあの時、初めてお前に声をかけたのは、女たらしって事実と違うことをお前に思われてるのがなぜか不愉快だったんだ。」



そういうことだったんだ。

非常階段に来ている時の道明寺は、あたしを邪険にすることもなく、本当に穏やかで静かだった。


「類と非常階段にいる時に、俺が探しに行っただろ? あれも夢が気になって仕方なかった。「なんとなく」なんて言ったが、類とお前は非常階段にいるんだと確信して行ったんだ。そうしたら、お前が辛いって言ってて、類と抱き合ってた。

今まで女になんか興味がなかったのに、夢の中の女と牧野が気になって、類に抱かれて抵抗しない牧野に、どうしようもなく苛ついて。それでつい、お前に嫌なことを言った。悪かった。」

あの日だ。道明寺が記憶を戻した日。



「お前に突き飛ばされて、壁に頭をぶつけたのも、そんな大げさな打ち方じゃなくて、軽くぶつかっただけなんだ。でも、その瞬間に、本当に牧野を忘れてたことすら分からないくらい、何もかもが自然に頭に戻ってきたような感じだった。あの感覚はなんだろうな。」


「刺された後、意識が戻ってからのことも、NYに行って日本に帰ってきたことも記憶にあるのに、いつの間にか牧野だけがいない。でも夢に出てきた女が全部牧野に変わって、一瞬、どこからが夢で、いつから過去なのか現実なのか混乱した。

牧野を忘れてる間に、俺の秘書をしてる牧野は現実にいて、それを過去の2年間は記憶として覚えてるのに、牧野を忘れてたのが不思議で、何を言ってんのか分かんなくなってきたな。」


道明寺は話しながら首を傾げ、うーんと唸り始めてしまった。


「要は、夢の影響もあるとは思うが、牧野、お前を忘れてても気になってたんだ。夢で女が笑顔で類と話してることすら気に食わなかったのに、現実では女に似た牧野は類の前だと笑うし、おまえらは自然に触れ合ってるんだ。それを見ると、なぜか怒りが込み上げるって言うのか?

それも牧野を思い出して納得したけどな。」


記憶喪失なんてなったことないから、よく分からないけど、あたしの記憶はなかったけど、感情だけは覚えてたような感じなのかな?


「でも、類とだって再会したのは道明寺と同じ2年前だよ。あんたが記憶をなくした時、一番あたしを心配してくれたのは類だったから、記憶の戻ってない道明寺の側にいるあたしを、とても心配してくれてたの。」


「ムカつく。」


急に言うもんだから、何がムカついたの分からず、首を捻って道明寺を見る。


「類って呼ぶのやめろ。マジでムカつく。一番苛ついてたの、それだな。」

はい?


「いつから類って呼んでのか知らねぇけど、あきらと総二郎は名字で呼んでんのに、なんで類だけ類なんだよ!だからおまえら付き合ってんじゃねぇかって勘違いしたんだろ、俺が!」

「それは、そう言われると困るけど。類はいつもあたしが困ってると助けてくれてたし、いつの間にか自然に?」


思わず笑いながら、「いつでもあたしを困らせてるのは道明寺だけどね!」と言うと、道明寺はムスッとした顔をして黙ってしまった。そんな顔さえも可愛くて、完全に絆されてるなとしみじみ思う。



でも、ずっと10年前から好きなのは、つかさ、だけだよ?」



めちゃくちゃ恥ずかしい。自分で言ったことだけど、恥ずかしい!


「おまえ、本当に勘弁しろよ。」


あたしに初めて名前を呼ばれた道明寺が顔を真っ赤にしてる。

かわいい。今は道明寺の仕草一つ一つを間近で見れることが嬉しくて、自然と笑みが溢れる。


「なんだよ、めちゃくちゃ笑うじゃねぇか。なぁ、お前が辛いって言ってたのは、何がそんなに辛かったんだ?」

「えー、だってさ、あたしがすぐ近くにいるのに道明寺は何にも思い出しもせず、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ色んな女の人と噂になってるだもん。いくら秘書でもプライベートには口出し出来ないし、そりゃ辛いわよ!」

「なんだ、お前ずっと嫉妬して俺にツンツンした態度取ってたのか!」


急に道明寺はニコニコしながら話し始めたから、ちょっとイラッとしてしまった。


「あんただって、あたしが秘書として会った時に「また女かよ」って言ったあと、しばらく無視したじゃない!他の女と同じに扱われたらムカつくもん!どうせ前の秘書たちは公私混同しようとしたから切ったんでしょ?

あたしはね、長期計画なの!その場限りの女とは違うの!」


フンッとそっぽを向いたけど、急に道明寺はあたしの体を持ち上げて向かい合うように膝の上に乗せられた。


「ちょっと!いきなり何すんのよ!」


と道明寺を見れば、あたしを睨んで怒ってる?

怒ってるのはこっちなんだけど!


「その場限りとか何とか言ってるが、そういう関係になった女はいねぇって言ってんだろ。」

まだ言ってる!と思って、尚も顔をフンッと背ける。すると道明寺の手があたしの両頬を挟んで無理矢理、正面を向かされる。


「あれは、お前が言ったんだろ。」


何のことだか分からず、首を傾げていると、


10年前に、うちの邸でそういう雰囲気になった時、お前が俺を怖がって出来なかったことがあっただろ?その時にお前、あと5年くらい待たせるかもって言ったの覚えてるか?」


そんなことを言ったような


「あれが牧野を忘れてても無意識にあったんだろうな。お前の記憶がない間に、確かに他の女とそういう流れになった事は何度もあった。」


やっぱりあったんじゃん!とムッとする。


「最後まで聞け。

そういう雰囲気になっても、誰に何をされても全く体が反応しねぇんだよ。健全だと思ってた10代後半だぞ?何度試しても、どの女に変えてもダメで、病気かと思ったぜ。

そのうち夢を見るようになってから、女が触ってくるのが気持ち悪くて仕方ねぇんだ。香水はクセェし、体をタコみてぇにぐにゃぐにゃくねらせて近付いて触ってくるし、それでも取引先の社長の娘とかだと無碍にも出来ないしな。一応笑って対応するけど、基本無視だ。

まぁ写真はしょっちゅう撮られるし、薬を盛られた時は焦ったけどな。あとは勝手にマスコミが騒いでただけだ。」



ちょいちょいムカつく話だけど、だから5年どころか10年待ったって言ったんだと納得。

他は確かに西門さんたちが話してたことと一致する。あの時も『司は滅多に女は近寄らせない』って言ってた。




「もう分かっただろ?俺はお前にしか反応しないんだ。責任取れよ。」


「そういう責任ならいくらでも。まさかそんなことになるなんて、言ってみるものね。

それに、あたしだけなんて、そんなの願ったり叶ったりだわ!」









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