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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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You belong with me. 19(完)


You belong with me. 19()





エレベーターから降りてきたのは、女性を抱きかかえた道明寺財閥日本支社副社長。


女性を抱えたまま歩き出し、突然のことにまわりの社員も、来社していた他社の人も注目する中、しんと静まり返るエントランスホールの真ん中でピタリと止まったかと思えば、彼女の耳元で何かを話したあと、優しく労るような動作でその女性を降ろし、片手を握ったまま片膝を付けて跪く。




「牧野。俺がお前を幸せにしてやる。お前も俺を幸せにしろ。」


「ちょっと!なんでプロポーズまで俺様なのよ?!そういうとこ10年前と変わんないわよね!」


「返事はイエスだろ?ほら、早く俺を幸せにしろ。」


「もう!しょうがないなぁ、あたしがあんたを幸せにしてあげる!」




副社長は立ち上がり、再びこの女性を抱き上げキスをしたあと、微笑み合いながら歩きだし、そのままエントランスを出て行った。












なにその動画!!!

誰よ!誰がそんなものを撮って拡散させたわけ?!

恥ずかしすぎてどうにかなりそう



道明寺財閥日本支社のエントランスホールど真ん中でされたプロポーズ、あの時は周りが見えてなかった。

道明寺にしがみついたままだったから、いつの間にかエントランスにいたのも気が付かなかったし、そのあとも道明寺しか見えてなかったから、知らなかったの!

まさか周りにあんなに人がいて、しかも動画まで撮られてたなんて



このプロポーズのあと、本当にそのまま役所に行って婚姻届を出した。

あの時、指輪はなかったけれど、後日改めて夜景の見えるレストランで大きい石の付いた指輪を贈られた。

そして婚姻届けを出したその日から、夫婦なのだから一緒にいるべきと道明寺に押し切られ、一度だけ荷物をまとめに帰ったきり自宅に戻ることはなく、気が付けば道明寺のマンションに引っ越していた。



今、道明寺と住むマンションの、広いリビングの大きいソファの隅で、丸っこく蹲るあたしを丸無視して話す人たちがいる。


ここにいる6人、美作さんと西門さんに類、滋さんと桜子と優紀は、あたしと道明寺の知らないところで密かに、10年間ずっと連絡を取り合っていたらしい。

道明寺の記憶が戻ったことは類から美作さんに、美作さんからみんなに伝わり、道明寺財閥からの副社長結婚のニュースリリースと、今回の動画が拡散したことで全員の知るところとなった。


滋さんも桜子も、優紀も。みんなと泣きながらの再会だった。

お互いにごめんねを言い合って、この10年を話した。




「いやー、滋ちゃん本当に良いもん見せてもらった!もう一回見よっと!」


「しかし司の母ちゃんも父ちゃんもエグいな。結局は全て跡取りの司の為なのは分からなくもないけど、それで一人の女を10年も監視して縛り付けるってすげーよ。

たまたま牧野が司のことが大好きで側にいたいが為に、司の母ちゃんたちの話に乗ったのかもしんねぇけど。」


「え、一般市民の私からしたら、全く分からない話なんですけど。」


西門さんと優紀も男女の関係はないけど、今でもたまに連絡を取って会うこともあるとか。


「それにしても人一人の人生、何だと思ってんだ?しかも、お前の意思、丸無視じゃねーか。まさに非人道的過ぎて、お前裁判でもしたら勝てるんじゃね?」


「牧野、コーヒーおかわりちょうだい。」


「類!コーヒーばっかり飲んでないで、お茶も飲みなさい!胃を悪くするわよ?

西門さんも!説明したでしょ。私が選んだことなんだから、裁判なんて意味ないわよ!」


「しかし10年もすげぇわ。もう執念だよな!側にいなかっただけでストーカーだよ。」

そこは自分でも思わないでもなかったけど、いくら美作さんでも、人に言われると嫌な気分だ。


「要は司が牧野と出会って変わったからこその話でしょ?俺らだって、牧野がいなかったら今頃、酷い経営してたかも。」

類〜!良いこと言う!


「牧野と出会う前の司はマジで酷かったもんな。目が合っただけで相手を殺しかねない勢いだろ?そんなんで仕事させたら訴訟問題だらけで、さすがの道明寺財閥も潰れてたかもな!」

この美作さんの言葉には、みんなが一斉に頷く。



「お前らいい加減に帰れよ!」

言われっ放しの道明寺が遂に青筋立てて怒りだす。


「司!お前は何も言えねーからな!」


「そうですわ。道明寺さんが先輩を忘れてしまったのが全ての始まりですもの。」


「つくし、本当に良かったね。」

数年振りに再会した優紀が、あたしの横に座る。


「優紀も、誓約書にサインしたんだって?」


「うん。でも、あの頃つくしを側で見てたからね。そういうものかって自然に納得してたよ。」と笑いながら話す。


「それにしても先輩、道明寺さんのお母様たちを脅迫するつもりだったと仰いましたけど、どんな内容だったんです?」

桜子が興味津々と言った風に聞いてくる。


「聞かないほうが良いと思うけど。」


「おっ、それは興味あるな。脅迫出来る程ってのは、中々ないぞ?」


美作さんも身を乗り出して、聞く気満々だ。

道明寺もそんなに大したことないと思ってるのか、話してみろ!なんて言ってる。良いのかな?


「えーと、A社のM&Aの不正リスクDDで発覚した個人情報漏洩隠蔽の件でしょ、C州の市庁舎建設に関する競争入札での談合の件とか、R社の未公開情報によるインサ「おい!」とか、N社に対する優先的地位の濫用による独占禁止法違反に関して、内通者を「おいって!」とか。ん〜、あとはI国の原油パイプライン!そこの担当大臣に贈賄「牧野!やめろ!」

大声で叫んで、あたしの話を遮る道明寺。だから言ったのに。



牧野、どこでそういう情報を?」

美作さんも薄々知っているところもあったのか、訝しげに聞いてくる。


「一部はNYにいる時かな。2年間いろんな部署を回ってたでしょ?一番下っ端からだったし、東洋人だからか、かなり幼く見られるみたいで。語学も弱いと思われてたのかしらね?楓さんにも、あたしが実際どこまで何か国語話せるかまでは教えてなかったから。

司の秘書になってからも、私はほとんど内勤で司と行動することはなかったから、社内では顔もほとんど知られてないし、暇を見つけてはこっそりいろんな部署に忍び込んだりね!

みんないーっぱいお話してくれたわよ。会社も社員も、コンプライアンス見直したほうが良いかもね。」

うふふと笑って話せば、なぜかみんな引き攣った顔をしていた。


「司、おまえ、何てことしたんだ。道明寺財閥ダメだろ!なに記憶なんか失ってたんだよ!」


「こわい!つくしがこわい!10年で人ってこんなになるの?!」


「いくら社員たちが話してたって限度があるだろ!どうやって知るんだよ、こんなこと!」


「あとは、おじさまたちかなぁ。」

小首を傾げて話してみれば、道明寺も驚く。

まさかの情報源がおじさまとか、まずは考えないわよね。


「親父?!」


「うん。ほら、NYにいた時は道明寺邸にお世話になってたでしょ?お夕飯なんかは時間が合えば、おじさまや楓さん、椿お姉さんとも一緒に戴いたりしてたの。その時におじさまと楓さんがね、あれ、何語だったかなぁ。スペイン語か、いや、アラビア語?あ、広東語だったかな?とにかく、こっそり話してるの聞こえちゃった!」


「こっわ!なになになに?!アラビア語?!そこまで?!」

滋さんが叫んでる。美作さんと西門さんは無言になっちゃうし。


「牧野、あんた、道明寺財閥どうするつもり?」

類がクスクスと笑いながら聞いてくる。


「そうねぇ、恨みが全くないわけではないし、どうしようかな?」


チラリと道明寺を見てみたら、なんとも言えない顔。

確かに、道明寺が記憶をなくさなければ、こんなことしなかったし。でも。


「司、安心して。この10年、あなたの為だけに生きてきたの。あたしが一緒にいる限り、これからも道明寺財閥は潰させやしないわ。」


にっこりと微笑んで道明寺を見れば、ホッとしたような顔をするからおかしくて。


「ねぇ、つくしって楓社長の秘書もしてたんだよね?てことは、他社の情報も、」

「滋さん!やめときましょう!」


桜子が滋さんの口を手で庇って話を遮る。



そうだ、一つ聞きたいことがあった。

「美作さん、あたしと司の噂のことだけど。もう一つ理由があるって言ってたよね?それって何?」


ずっと気になってた。楓さんもその話はしなかったし。


「あぁ、噂にはなってたんだ。楓社長が相当気に入っていて、マスコミに写真すらも撮らせない秘書を付けてるって。楓社長はよくテレビにも出るし、付いてる秘書も自然と写ったりするが、その秘書は絶対にメディアに出ない。

楓社長に付いてるくらいだから優秀なのは間違いないだろうが、他社に引き抜かれたくないのか、常に楓社長や社員が側にいて、なかなか声も掛けられない。

その秘書をNYのパーティーや会食、会議の場か何かで見た経営者が、今度は日本で司の秘書として現れたのを見つけたんだろうな。そこから、楓社長の噂の秘蔵っ子が息子の副社長に付いた、これはもしかして婚約者なのかって噂が一気に拡がったってわけ。送り迎えは必ず道明寺家の車だしな!」


全然知らなかったし、全く気が付かなかった。

おじさまがあたしと司を結婚させるつもりだったとしても、賛成しかねていたはずの楓さんが、いつからどこまで考えていたのか検討もつかなくて恐れ入る。

やはり敵には回したくない人だ。



「しかし牧野が10年間も司の為にって言うのが信じらんねぇな!」

まだ西門さんが何か言ってるけど。


「だって、花盛りの10代に、こんなにしつこい男に追いかけられて、今さら普通の恋愛なんて出来ないわよ!だから良いの、あたしは司さえ側にいれば、それだけで幸せなんだから!」


「な、しつこいは余計だが、こんな素直な牧野は想像してないだろ?」

道明寺がそう言いながら、あたしのそばに来て包むように抱きしめる。





運命が自分たちの意志に関係なく巡ってくる幸、不幸だと言うのなら、それが不幸だと諦めた時点でおしまいで。

あたしと道明寺はその幸せを掴むのに10年掛かっただけのこと。


どこでも、どの瞬間にも、大切な人が目の前から突然いなくなることがある。

だからこそ、これまでの10年よりも、もっと多くの時間を一緒に過ごしたいと思える人を諦めないで良かったと思いながら、道明寺にキスをした。





fin.






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