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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Re: notitle 20

Re: notitle 20






四人目。
ミドウさん。


「あ~、うん……」

急に反応が悪くなったあたしに、花沢さんと進はメモを取るのに下を向いていた顔を上げて、あたしを見た。
花沢さんの整った顔で見つめられると、ちょっとだけ緊張する。
笑った顔も破壊力あるけど、無表情なのも、ね。

「えっ。まさか姉ちゃん、その人のこと気に入ったの?!」

「違う!そうじゃなくて、いや、う~ん……」

ミドウさんのこと何て説明すれば良いのか。
嘘ついても仕方ないし、正直に話すしかないよね。ミドウさんももうアプリは辞めるって言ってたし……。


「あのー、昨日会ったばっかりなんだけど、その人は出会いも結婚も求めてなくて、でも勧誘とかでもなくて、まぁ最終的には友達?知り合い?になったというか……」

「なにそれ」

「う~ん、まぁちょっと協力を求められたから、何だか放っておけなくて……」

「出た!姉ちゃんの悪いところ!」

「分かってるから言わないで。でもその人、女の人が本当に苦手みたいで。なのに、ちょっと事情があって無理矢理?会ったこともない女の人と結婚させられそうなんだって。
だから、まずは結婚させようとしてる人たちに、女の人に慣れる練習してるってことにして、知り合い?というか友達になって?結婚を阻止する為に協力しようかって……」

「なんだか分からないこと多すぎて意味が分からない。その人は出会いも結婚も求めてないのに登録してたってこと?」

「まぁ、そうだと思う。でも出会いも結婚も求めてないのは私も同じだし……」

ハァーっと大きなため息をついた進は持っていたペンをテーブルに置くと、あたしに向けて手のひらを差し出す。

「スマホ、出して」

渋々とスマホのロックを解除して婚活アプリを起動する。
進はあたしのスマホを受け取ると操作しながら、またあたしに質問をする。


「で?また会う約束でもしたの?」

「あー、うん。まだ返事してないけど、また会おうと思ってる」

「どんな人だったの?」

「不思議な人でね、仕事以外では二十年近く女の人と話をしたことがないとか言っててさ」

「なにそれ?そんなことあるかよ。あ、この人?ミドウ ジョウさん」

「ゲホッ……!」

突然、花沢さんが飲んでいたお茶が気管にでも入ったのか咳き込んだ。
慌てて進が花沢さんの背中を擦ってる。

「ちょ、専務、大丈夫ですか?!」

「だ、大丈夫……っ、ちょっとお茶が変なとこ入っただけ」

変なとこだって。
気管じゃなくて、変なとこって。
その見た目と言い方のギャップに思わずフフッと小さく笑ってしまいそうになってしまって、誤魔化すのにキッチンカウンターの上に置いてあるティッシュを取りに行く。

「どうぞ」

そう言って花沢さんに渡すと、どうもと少し掠れた声で一言だけ、少し涙目になっているのが見えた。

うひゃ~!
イケメンの涙目ってすごい威力だわ~!
眼福眼福。ありがたや。


「それで、姉ちゃんは本当にまたこの人と会うつもりなの?」

「うん、そのつもり。出会いも結婚も求めてないみたいだし、極度の女嫌いっぽいから、絶対に恋愛関係にはならないと思うし」

「そんなこと言って、姉ちゃんはそうかもしれないけど、もしそれで女嫌いが治ったその人に惚れられちゃったらどうすんの?」

「いや、ないない」

そんなことになるなんて、ありえない。
触れることさえ極端に嫌がっているようだし、たぶん過去に何かあったんだろうと思う。
でもそれは彼が乗り越えないといけないことで、あたしには関係ない。
あたしはあくまで、彼のご家族の勧める結婚を阻止するだけ。


「なんか怪しい人すぎない?それで結婚を阻止するのに誰か女の人をカモフラージュにして探すにしても、なんで婚活アプリを選ぶんだ?だって、それで相手の女性に本気で惚れられて結婚を迫られたら元も子もないじゃん?」

「そこよ!たまたま私が出会いも結婚も目的じゃなかったから良かったねって話なだけで、随分と危ないことしてるわよね?」

「会うのやめといたほうが良いんじゃないの?」

「そりゃ最初は怪しいし断ってたんだけど、初対面の人間に頼むほどってなかなかないし、そういうことを頼める女友達もいないってことでしょ?なんだか放っておけなくて……」

進にジトーッとした目で見られている。

分かってるわよ!
もう何回同じことをするつもりだって言いたいんだろうし、あたしだって自分で思ったけど!

「でも、でもね!ちょっと試したのよ。結婚を阻止する手伝いをしてくれるなら交換条件に美味しいご飯やさんに、どこでも連れて行ってやるって色んな高級店ばかり言うから、それも怪しいじゃない?
大手企業に勤めてるってプロフィールも疑わしい態度だったし、だから本当にそんな高級店ばかり知ってるなら「プティ・ボヌール」も知ってるかなって思って、先日花沢さんとご一緒させていただいた時の話をしてみたの」

「姉ちゃんの誕生日に行ったお店だよね?」

「そう。あそこは一見さんは入れないでしょ?ホームページもないし、人伝に聞かないと知り得ないようなお店じゃない?
聞いたら知ってるって言うし、それならと思って、飾ってあるお花も白でびっくりしたって言ったら、「初めてで、あの部屋に入ったのか」って言ったの。
お花を置いているのが席じゃなくて、部屋だっていうことを知っていたのよ。
花沢さん、あのお部屋は関係者の方しか使わないって言ってましたよね?
ミドウさんは仕事で「プティ・ボヌール」の関係者の方と関わりがあるって言ったし、そこまで知ってるなら、この人は社会的地位が多少なりともある人なのかなって……」

それなら、少しは信用しても大丈夫かと思ったから、お礼のメールで本気なら連絡してと言った。

「一応また会うことにしたけど、私はまだ彼のことを何も知らないから、絶対的な信用はしてない。今は彼とお友達になれるかどうかなの」

「う~ん、まぁうちは身分証明書も収入証明書も出してもらわないと登録出来ないから、なかなか悪いことは出来ないと思ってたけど、それでもこうやってヤリモクだったり目的が分からない奴いるんですね、専務」

「……そうだね」


これから会って話してみて、彼が本当に信用出来るかどうか。
話はそれから、だもんね。


「てか姉ちゃん、結局は飯に釣られてんじゃん?」

「うっさいよ、進!」











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