sei l'unico che può rendermi felice.

花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

02月≪ 03月/12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫04月
BLOGTOP » Take your time. » TITLE … Take your time. 2 (完)

Take your time. 2 (完)

Take your time. 2 (完)







「……ん、」


しばらくそのまま髪の毛を撫でながら牧野を見ていたが、それに気が付いたのか薄っすらと目を開けた牧野。
初めはぼんやりとしていたけど、俺の姿を確認すると、また涙を流し始めた。

やっぱり俺か。
また俺が、何かをしたんだ。


「……牧野」

「道明寺、」

「ごめんな、何が悪いのか分からないんだ。牧野を泣かせたいわけじゃないんだが、これ以上どうしたら良いのか分からなくてな」

「ちが、違うの……!」

「じゃあ、なんで俺を見て泣くんだよ。なんで、一人で泣いてるんだ……?」

牧野は体を起こして髪を撫でていた俺の手を取ると、強く握ってくる。
それでも涙を流したまま首を振るばかりで、やはり何も言わない。


「あの時に反省したはずなのに、また分からないんだ。牧野のことなら何でも分かっていたいと思っても、どうしても牧野のことになると……」

「違うの……!これは、あたしの問題で、」

「じゃあ、何で俺の前で、笑わなくなった……?」

「そ、れは、」

「最近はあんまり俺に話しをしなくなっただろ?だからまだ、俺は何か見えてないんだ。あれから一ヶ月も経ったのに、まだ牧野のことを分かってやれてない」

牧野はスン、と鼻を啜ると、握っていた手を離して手の甲で涙を拭った。


「……あのね、違うの。最近ね、道明寺が、急に遠くに感じるようになっちゃったの……」


遠く?
どういうことだ?

「ずっと側にいるだろ?」

「そうかもしれないけど、そうじゃなくて……。今までは、ずっとあたしが道明寺の側でスーツ選んだり、ご飯の支度をして、掃除洗濯をして。仕事も、ずっと隣で一緒にいた」

「でも、今の牧野はお腹も大きくなってきてるし、負担は少ないほうが良いだろ?前と同じことをしていたら、牧野もお腹の子も辛いんじゃないか?」

「分かってるの。道明寺が、いつも一番にあたしとお腹の子のことを考えてくれてるのも、とても大事にしてくれているのも。
でも、あれからまだ一ヶ月しか経ってないのに、今まであたしが道明寺にしていたことが、急に何もなくなっちゃって、それが、さみしくて……、でも、道明寺が大事に大切に考えてくれるのも分かってるから、こんな、さみしいなんて、言えないと思って……、」


牧野。

俺が良かれと思ってしていたことが、牧野にとってそんなさみしさを感じさせてるなんて思わなかった。


「あの、あのね、あたしのわがままなのは分かってるの。別れるなんて言って家出して、お義母さまたちまで巻き込んで大騒ぎしたのに、今はあの頃のほうが、……道明寺が近かったなんて、思っちゃいけないって。
あたしも道明寺を支える何かをしたい。なのに、何もかも先回りして、あなた一人が先を行ってしまうようで、さみしかったの……」


また、俺は分かってなかった。
側にいてくれれば、それだけで他に何もいらないと思ってた。

牧野の負担にならないように、そればかりを考えて。
牧野に何も聞かずに、また俺一人で決めていた。


「ごめんな」

「違うの!道明寺は何も悪いことなんてなくて、あたしが、気持ちが追いつかなくて、それで……っ、」

優しく、優しく牧野を抱きしめる。

やっぱり俺は、バカだ。
牧野の変化に気付けなかった時間を取り戻したくて、それを埋めたくて無意識に焦っていた。

牧野の気持ちも考えずに、一人で。


俺は何度同じことを繰り返すんだ。

牧野。


「やっぱり俺が悪い。牧野を大事に大切にしたいのに、気持ちはどこか焦ってたんだ。
牧野、さみしい思いをさせてごめんな。
でも話してくれて、ありがとう」

「……うん。あのね、道明寺、……大好きだよ」

「俺は牧野を愛してる」

「ふふ、相変わらずね」

「牧野、ゆっくり、ゆっくり行こう」

「そうね、お互い焦ってたのかも」

「11年も一緒にいるのにな」

「ジェットコースターから、そろそろ乗り換えないとね」


まだまだ長い、この先の人生を、牧野と一緒にいられるように。
焦らず、ゆっくり。


「あっ!道明寺、お誕生日おめでとう!」

「ん?日付け変わったか?」


「道明寺、生まれてきてくれてありがとう」



当たり前の毎日を、「いつも」がいつまでも続くように、ゆっくり、ゆっくり、二人いつまでも手を繋いで、同じ道を前を向いて歩いていけるように。






Happy Birthday Tsukasa!
Love does not consist in gazing at each other, but in looking together in the same direction.






「Can we get back together?」の続編でした。
思いついたら吉日、ちょうど司くんのお誕生日だったので。
お誕生日おめでとう〜!


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

関連記事
スポンサーサイト



*** COMMENT ***

COMMENT投稿

管理人にだけ読んでもらう