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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Re: notitle 32

Re: notitle 32







「なんでお前らまでいるんだよ」

「良いじゃねぇか、いても。今日は彼女と会ってたんだろ?」

「今日はどんな話したの?」

総二郎と類。
なんでよりによって今日なんだ。こいつらの勘というか、タイミングには驚かされる。
いや、それともあきらが何か言ったのか。
そう思ってあきらを睨むと、「俺は何も言ってない!」と慌てて言うから、ソファで寛いでいた類と総二郎も何かあったのかと聞いてくる。

「それがな、司のやつ彼女の部屋に入ったんだってよ~」

馬鹿じゃねぇの、こいつ?!
いきなりそんな話をしたら、

「なんだ、どういうことだ?!強引に連れ込まれたのか?!」

「司、いつの間にそんなことに?」

珍しく類だって食い気味で聞いてくるじゃねぇか!
めんどくせぇな!

「どうもこうもねぇよ。風邪を引いたって言うから、見舞いに行っただけだ」

「へぇ、司が風邪を引いた女の心配をするんだ?」

「……なんだよ、おかしいことないだろ」

「まぁ普通はな。でも司、女に触れることすら出来ないのに、よく部屋なんて入ったな」

「ああ、薬とか飲み物とか渡したら帰るつもりだったんだけどな」

「やっぱり連れ込まれたのか?」

総二郎がそう言うのも分かる。俺が女の部屋に入るということ自体が今までの俺からしたらあり得ない。こいつらは俺とクシマが協力関係にあることも、触れ合えるようになったことも知らないから尚更そう思うんだろうけど。
そもそもの前提として彼女の前では「道明寺 司」ではなく「ミドウ ジョウ」なんだから、連れ込むだの何だのって発想になることがおかしい。

「だから!連れ込まれてねぇよ!荷物はすぐ渡したんだが、あいつ思ったより熱が高くてな。玄関で座り込んだまま動けなくなったから、仕方なくベッドまで連れて行ったんだよ」

「あー、なるほど……」

「司が連れて行ったの?」

「しょうがねぇだろ、歩くのも大変そうだったんだぞ」

「どうやって?」

「どうやってって、手を……」

あ。しまった。
馬鹿じゃねぇの、俺?!

「手を……?」

「まさか、司」

「……なんだよ」

「はは、まさかな」

「手を、壁に付いて歩いてるのを転ばないように見守ってたんだよ」

「だよな、手を貸してやったのかと思ってびっくりしたわ」

あぶねぇ!上手くごまかせたよな?
今はまだ彼女のことで何か探られるようなことにしたくない。まだこの気持ちがはっきりしないうちは、今のままが良い。


「それにしても彼女と司が会うようになって半年過ぎたか?定期的に会ってるのに、本当に何もねぇの?」

「まぁ司の女嫌いは相当だからな。でもいくら友達からと言っても、そろそろ何かあってもいいよな」

「……何かってなんだ?」

「あー、ほら、好きとかそういう気持ちにならないのかってことだよ」


好きだと思う気持ち。
今までの俺は女に対して嫌悪感しか持ったことがないが、クシマに対して嫌な感情は全くない。
だから嫌いではないのは確かだが、嫌いでないことと好きとはまた違わないだろうか。

「好きっていうのは、例えばどんな」

「司には難易度高いか?てか、小学生じゃあるまいし、普通は30過ぎた男のする会話じゃねぇけどな。いいか、好きって言うのは、特定の相手ともっと一緒にいたいとか、話をしたいとか、相手のことをもっと知りたいとか思うこと、かな」

「そうそう。一緒にいると落ち着くとか、気が付くとその人のことばっかり考えちゃうとか」

「……それは、友達には思わないことか?」

「司、いつも俺たちのことを考えてるか?もっと知りたいとか、もっと一緒にいたいとか考えるか?」

「気持ち悪いこと言うな!」

「だろ?」

「あとは、もっと相手に触れたいと思うかどうかだな。キスしたいとか、抱きしめたいとか」


クシマと一緒にいると落ち着くと言うか、不安感が全くない。
だから話していて会話が途切れて沈黙しても気まずくないし、安心して時間を共有できる。

どこかへ出張に行けば、彼女に何か喜びそうな土産がないか探してしまう。
それは彼女が喜んでる顔が見たいから。あの笑顔を見ていると落ち着く。

彼女との穏やかな時間が心地良い。
だって彼女は俺が安心して一緒にいられる人。

もっと彼女に触れたいと思うか?
今はもう彼女に触れても嫌悪感はない。それも彼女を信頼しているから。
だから彼女の小さくて温かい手に触れられる。
彼女が寝込んでいる時に、触れたいと思った。髪や頬に、唇に。


これは、好きなのか?
あきらたちには間違っても抱かない感情だ。でもそれはあきらたちが男だからで、女の友達だと違うのかもしれない。
この感情は、女の友達にも当てはまる?

「……男女間の友情でもそれは、」

「ないとは言い切れないけど、男と女の友情は成り立たないことがほとんどだな」

「一緒にいればいるほど、お互いのことを知るだけ好意を持ちやすいよな。やっぱり男女間だと本能的なもんもあるしな」

ソファに座って黙り込んでしまった俺を見て、三人は俺を囲むように近付いてきた。あきらと総二郎は俺の両隣に座り、類は俺の正面で胡座をかいてラグの上に腰を下ろす。


「彼女のことが気になるか?」

「気になると言うか……」

「彼女に会うようになってからの司は出張行く度に土産を買ってるよな。彼女に渡す為に」

「あいつ、土産を渡すと喜ぶんだよ。特に甘い菓子とか」

「喜ぶ姿が見たいんだよな?それに、面倒がらずに、ちゃんと彼女と連絡を取り合ってる」

「俺の都合に付き合わせてるからな。それに俺の嫌がることは絶対にしない。そこは信頼してる」

「長い時間、一緒にいても苦痛じゃないんだろ?」

「苦痛なら会わないし話さねぇだろ」

なんだよ、これは。
男三人で顔を寄せて尋問みたいになってんじゃねぇか。
何が聞きたいんだ?

「彼女のことをもっと知りたいと思うか?」

それは思う。
彼女の話から知り得たことは多い。でもそれは偶然の産物であって、彼女自らが俺に教えようと思って話したことではない。
弟とレストランへ行った時に類が一緒だったことも、勤めている会社も。

聞かれても話したくないことは話さない。そういうルールだ。
だから未だにお互い本当の名前も知らない。

彼女が知っている俺は「ミドウ ジョウ」で、その名前以外を何も知らないし、聞いてもこない。
それは、俺に興味がないから。俺も何か聞かれても答えられないから。

知らないし、聞けない。
知りたいけど、聞けない。
聞いたら聞かれる。


『あなたの本当の名前は?』














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