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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Re: notitle 34

Re: notitle 34









「おい、待てよ。類も司も何の話をしてるんだ?」

「類?」

あきらも総二郎も何の話をしているのか分からないということは、やはり類は誰にも彼女のことを話していないのだろう。

「俺も初めはまさか司と彼女がマッチングして会ってたなんて知らなかったけどね。その話を聞いた時はびっくりした」

「彼女から俺の話を聞いてるのか?」

「聞いてる。だから俺は知ってるよ」

「何を、知ってる?どこまで聞いた?」

「お前の思惑、全てかな」

類とクシマは、確実に一度はプライベートで会っている。
あのクシマの誕生日にレストランへ行った時から既に二人は連絡を取り合っている?それとも、弟か?

俺の思惑全て、と類は言った。
全てということは、彼女との協力関係を知っているということか。
普通に考えれば、部下が事細かに姉のしていることを上司に報告するなんてあり得ない。つまりそれは、彼女本人から聞いたことにならないか。
類はあの時、部下は姉にモニターのようなことを頼んだと言っていた。登録者数が伸び悩んでると、だから改善点を見出したいと言っていた。つまり、彼女は弟にアプリを通して会った男の話をしているはずだ。
類は責任者として、その場に同席していた?なんせ交換条件として類がレストランに連れて行ってる。それ以降に弟を通して二人が会っていても不思議ではない。そう考えないと、類とクシマが直接会って話す関係でなければ、類が俺の思惑など知るはずもないし辻褄が合わない。


「ストップ!」

あきらが俺と類の間に手を入れて会話を止めた。
俺と類の様子に二人とも何かを感じ取ったのか、いつものふざけた雰囲気はない。

「類も司も何の話をしてるんだ?俺たちにも分かるように話してくれ」

「……クシマは、類の部下の姉だ」

「は?どういうことだ?類?」

「昨年末に類が部下と、その姉を「プティ・ボヌール」に連れて行った話を覚えてるか」

「ああ、類が珍しく女の話で笑い転げてたから覚えてる」

あの時はまだ、婚活アプリをするかしないかで騒いでた頃だ。
あの話を聞いていなければ彼女が類の部下の姉だとは気が付かなかったし、そうだという確信に近いものがあったから彼女と二回目以降も会うことにしたと言ってもいい。


「あー、やっぱりそれで気が付いたんだ。司も何も聞いてこないから気付いてないと思ってた」

「クシマをレストランに連れて行ったのが類だと薄々分かってた。初めて会った時に彼女はあのレストランで食事をしただけじゃなく、関係者しか使わない部屋の話をした。確信したのは彼女と二回目にあった時だけどな」

「それなのに俺に彼女のことを聞かなかったのは何で?」

「聞いたところで意味なんかないだろ。部下の姉なんて、普通は関わるはずのない人間だ。それに、お前がレストランに連れて行った部下の姉と、俺が会っている女が一緒の人物だと類は気付いてないと思ってた。彼女のことを類自ら調べるか、彼女から直接聞かない限りは彼女と会ってる男が俺だということを知り得るはずがないからな」

「なるほどね。でも彼女と司が初めて会った次の日には俺は知ってたよ」

そんな前から?俺と会った次の日には報告を受けていたということか。
そのあとは?俺と会う度に彼女は類に会って報告していたのか?聞きたいことがたくさんあるはずなのに、目の前にいる類の、やけに余裕ぶった顔付きに腹が立って仕方ない。

「司、俺が彼女の本当の名前も勤め先も連絡先も家も知ってて、彼女の手料理も食べたことがあるって言ったら、どんな気持ちになる?」

勢いよくソファから立ち上がった俺を、あきらと総二郎が慌てて止めに入る。
ムカつく。類を殴ってやりたい。
あきらと総二郎に両腕を掴まれて止められてなければ確実に類を殴ってた。

なんで、どうして、こんなに類に腹が立つ。
彼女にだってプライベートはある。二週間に一度しか俺は会わないし、それ以外の休みを彼女がどう過ごしてるかなんて、そんなの、そんなの俺に話さない程度の関係で、俺と彼女の縮むことのない距離だ。

名前も、メールアドレス以外の連絡先も、勤め先も聞いてないし、手料理の味だって、俺は知らない。
そう、俺は何も聞かなかったし、知ろうとも思ってなかった。

俺が、そういう距離で接していたから。
俺が、そういう関係を望んでいたから。

全ては俺の意志だったのに。

もっと、もっと彼女のことを知りたい。もっと近い距離でいたい。
今日初めて彼女のプライベートに踏み込んだ。「クシマ ツキノ」以外のものに、初めて近付いたのに。

類はそれを越えていく。


「類、お前どういうつもりだ?!司を煽んじゃねぇよ!」

「全部話せ!何が何だか分かんねぇ!」

あきらも総二郎も類に掴みかかろうとしている俺を止めながら怒鳴っているのに、類だけが胡座をかいて座ったまま、表情も変えずに俺らを見上げていた。

こいつ!

「司!一回落ち着けって!何だよ、ちゃんと彼女のこと好きなら、そう言えよ!」

「そんなの知るか!俺だって今、初めて気が付いたんだぞ!」

「類も類だろ!彼女が知り合いだって言うなら、どうして司が会ってるって知ってたのに俺たちに言わなかった?どういうつもりだ、類!」

「一回座れ司!落ち着け!」

そうだ、類を殴っても何にも解決しない。今日は初めてのことが多過ぎて、俺も少し気が昂っているのかもしれない。
大人しくあきらの言うことに従ってソファに座ってやる。
あきらと総二郎が俺がソファに座ったのを見て、両腕を掴んでいた手を離した。
その間もずっと表情も姿勢も変えない類。その冷静にも見える視線に、全てを見透かされているような感覚さえして、俺の中の何かがプチンと切れた音がした。


「ぶっ殺す」

「司!やめろ!」


頭で理解できても心が納得しないことがあるんだと、俺はこの時初めて知った。
そして総二郎もあきらも止める間もなく、胸倉をつかんで類を殴った。













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