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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Killed by your gaze. 2

Killed by your gaze. 2 (類つく)





「それ」がいつからと問われれば、始まりは高校生の頃だったと言える。


でも一度は諦めて、ただ幸せでいてくれるならと見守ることにした。
だから付かず離れずの距離を保って接していたけど、そのことに一番に気が付いたのは俺だったと思う。

二人がその結論を出した時、さして驚かなかったのは、それこそずっと見守っていたからに他ならない。
そのことに一番に気付いた時、あいつが本当に彼女の手を離すなら、その離された小さな手は俺が掴もうと心に決めていた。

だって、本当は俺が幸せにしたいし、一緒に幸せになりたいし、そもそもに一緒にいてくれないと息も出来ないのは俺だし。

でも一度は向けられたものを掴まなかったのは俺で、今更そのことを本人に告げたところで同じように気持ちを返してくれると確信を持てるような自信もなかった。
そっちが終わったなら俺と付き合って、なんて言うのもかっこ悪いし。

それでも欲しい。
側にいて欲しい。

だって、俺の知らない他の誰かに攫われたら、一緒にいられない。
今までは俺があいつの親友だったから彼女の側にいられたわけで。
一緒にいられなくなったら、俺は。

だから逃げられないように、いつものように、ゆるりゆるりと側にいて、するりと隣に居座って。
それが当たり前になるように、でも「それ」は強く、見過ごされないように。


その為なら努力は惜しまない。
惜しんでる場合でもないし、横から攫われないように自分の足元をしっかりと固めなければならない。俄然やる気になった俺は、勉強も仕事も選り好みせずに何でもやった。

そんな俺を見た両親は何があったのかと問うてきた。
幼い頃に厳しくし過ぎたことを後悔しているらしい両親は、今まで目的もなく息を吸って吐くためだけに生きているように見えていた俺に、やる気を出させたものが何なのか気にしていたようで。
これは好機かもと切々と話してみれば、両親に諸手を上げて賛成を得られた俺は、あとは彼女に逃げられないようにと少しずつ逃げ道を塞ぐことにした。

進路も、就活も、配属先も、親も、家も、時間すらも。


俺の向ける「それ」に彼女が気付いたのは、いつだったか。
彼女が就職してしばらくした頃だったか、仕事中でも彼女の配属先にふらりと顔を出しては「それ」を見せていたし、会うたびに何を言うわけでもなく、共通の友人たちの前でもただ側にいて「それ」を見せていたから、彼女が気が付いてくれた時は密かに喜んだ単純な俺。

そして、彼女の中にある壁。
実のところ、これが一番大変だった。

大企業の御曹司と恋をすることに疲れていた彼女の恋愛に対する壁は厚く、そして同じような環境にいる俺に対しては更に高い壁をいくつも作っていた。
それを無理矢理壊すようなことをせずに、一つずつ最適なルートを探って乗り越えていった。

俺が大企業の御曹司だから。
家柄が違うし、財産もないから。
教養もそこまであるわけでもないとか、美人じゃないとか、貧相な体付きだからとか、それはもう数え切れないほどの違いを列挙してたけど、俺の「それ」に気付いてないふりをしている壁すらも乗り越えた。

そう、俺は登るより簡単だろう、壊すという行為は出来なかった。
なぜ壊せなかったか。

だって彼女の心は傷付いた。

あいつとの別れが穏やかな別れだったとしても、それまであいつに向けていた彼女の気持ちは本物だった。
その気持ちの形が変わって、そして別れを選んだ時から、それ以上あいつと思い出を積み重ねることはなくなっても。
嬉しいことも、楽しいことも、悲しいことも、悔しいことも。
彼女は、あの日々を忘れることは出来ないだろう。

それを未来ではなく過去のものにすることに、躊躇いも後悔もないはずもなく。
友人たちには見せなかった涙を、俺には見せてくれたから。

その後に出来た彼女の心の壁を、壊して何の意味があるのだろうか。
彼女の思い出も、想いも、それは彼女だけのもので、それを守って、そして同じことにはなりたくないと怯えているから作られただろう壁を他人が壊したり、むやみに傷を付けていいものではない。

もしそれを無理矢理、強引に壊して、彼女の心を囲うものがなくなった時。
その時はそれこそ、どこへでも彼女は行けてしまうのではないかという恐怖心。

自分本位な言動で、自己中心的な考えだ。
でも、俺は俺の為に、彼女の心を壊すことなく手に入れたい。

彼女の一番近くにいるのは俺。
一番近くで彼女を見てきたのは俺だ。
壁が作られて、彼女の心が落ち着くのを見ていたのも俺で、その壁がどうやって作られたかを見ていたのも、俺だけ。

牧野、忘れなくていい。
その過去も、想いも、思い出も、それは牧野だけのもので、全部ひっくるめて今の牧野なんだから。

だから壊さずに乗り越えた先は、壁に囲われた彼女の心と、俺の心の二人きり。

絶対に、逃さない。

他の誰でもなく、その手を繋ぐのは、俺でありたい。

彼女の為なら、俺に出来ないことはない。
彼女が壁の中から出たいと思った時、その時は俺も一緒だ。
壁の乗り越え方を知っているのは俺だけだから。
壊さずに、守ってきたのは、俺だから。

その零した涙もため息も、一つ残らず掬って俺のモノにして、身体中に彼女を巡らせたい。


そして気付いた彼女の「それ」。

やっとだ。
少しずつ強くなっていく彼女の「それ」を感じる度に、心が震えた。
早く、早く、早く。

早く気付いて、俺だけになって。

そして俺と彼女の間で揺れる桜色の向こうに見えた彼女の瞳に、「それ」を見た。
どちらからともなく重なった唇に、彼女はまたなんだかんだと理由を付ける。

もう、いいのに。
もう二人きり、なんだから。

勝ち負けなんてどうでもいい。
生かすも殺すも、奪うも与えるも、俺の全てを委ねるから、早く。

俺だけを、見て。

でもそうだな、ずっと二人きりでも良いけれど、俺は一人っ子だったから自分の子どもは兄妹が多いほうが良い。

そう言ったら順番が違うと顔を赤くして怒るけど、いずれそうなるんだから順番なんて瑣末なことで。
だから早く言って欲しいのに、彼女は勝ち負けばかりを気にして、肝心なことに気が付かないふりをする。

それでも俺の瞳に写っただろう自分の「それ」に気付いた彼女は、何を今更恥ずかしがることがあるのか、今度は見ないふりをしようと目を閉じるから。


俺の心臓を、「それ」で何度も貫いて。
早く、その言葉で俺を、繋いでいて。


牧野の「それ」で、俺は何度も殺されたい。
あとは、その言葉があれば、何でも、全て、君のためなら。

牧野。

そしてその熱を、何度も何度でも、君の唇に、身体に、心臓に、心にあげるから。


だから、俺の「それ」に殺されて。







I want to be killed by your gaze.
君の「視線」に殺されたい。





Then, Happy birthday Rui!








「 Killed by your gaze. 3」は、がっつりエロです。
それしかないし、マジのR18なので鍵をかけます。すぐに分かるパスにしますが、うっかりクリック防止として念の為に壁を一枚作っておきます。
読まなくても何の問題もないですし、本当にそれしかないので、読まれる方は自己責任でお願いします。




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