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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Re: notitle 53

Re: notitle 53







「絶っっっ対に嫌!だからね!」

「姉ちゃん!頼む!俺を助けると思って!」

いくら弟の頼みとはいえ、嫌なものは嫌。

「い、や!」


やっと決心してミドウさんにメールをした。
彼も話があるから必ず約束の時間に喫茶店へ行く、と返事をもらった。まさかメールを送って数分後に来た返信にもびっくりしたけど。

こんなに長い期間、会わないなんてことはなかったし、彼の友人とのことがあるまでは彼から会いたいとメールが来ていた。
それがあの出来事の後しばらくしてミドウさんからメールが来なくなったのは、きっと彼は友人たちから、あたしとどんな話をしたのか聞いたのだろうと思っていた。やはり彼の信用と信頼を失ったのだと、そう。
だから返事が来た時、なんで信じなかったのかと、あらぬ誤解をして、あからさまに避けるような、そんな真似をする人間だと思わなかったとか、もう会うつもりもないとか、そういう内容のメールが返ってきたかもと思って、新着メールのポップアップ通知をタップするのに数時間かかってしまった。

まさかメールの返事がすぐに来たことも、そして彼が会ってくれるということも予想外で、また会ってもいいと言ってくれるまで頑張ろうと思っていただけに、自分から会いたいと言い出したことではあるけれど、本当にミドウさんに会えるという事実に、罪悪感と、嬉しさと、不安と、緊張と、とにかくいろんな感情がまぜこぜになっていた。

それなのに。


「その日、姉ちゃんの用事って午後からだろ?その時間までには絶対に終わるから!お願い!」

ミドウさんに会う約束の日の二日前、仕事から帰ってきてみれば、またしても進。
いつものように合鍵を使って部屋に上がり込み、のんびりとリビングで寛いでいた。玄関横の窓から漏れる明かりに進だと分かってはいたけど、こういうタイミングで進が訪ねて来ることに、何となく嫌な予感がしていた。


「だからって今度は「婚活パーティー」って何よ?!もう、本当に今はそういうの行かないことにしてるの!絶っ対に嫌っ!」

「頼むよ、姉ちゃ~ん!急なキャンセルが数人出て、男女比がちょっと合わなくなりそうなんだ。必ずカップルになれとは言わないし、参加費も俺が払う!今回だけサクラで良いから出てくれませんか!」


よりによって何でミドウさんに会う前?!
彼と会うのはもう約三ヶ月振りになる。数日前から緊張し始め、今はもうご飯すらまともに喉を通らなくなってきて、そんな様子のあたしに部長にも心配されるほどなのに、そんな、婚活パーティーなんて行けるわけない!

帰ってきて部屋に入るなり、リビングのソファで寛いでいた進はパッと立ち上がったと思えば、あたしの前まで来るとスッと正座をして、真面目な顔で話し始めた。
既視感。
約一年前の、あの時と似ている状況だ。

「第一、あんたんとこのはアプリでしょ?パーティーって何なのよ?」

「実はアプリを開始してから半年毎に、有料会員のみで参加条件を限定して婚活パーティーも開催してたんだ。今回も集まる人たちの条件はあるんだけど必ずマッチングしなくても良くて、とりあえずいろんな人と会って話してみよう、っていう気軽なパーティーなんだよ」

「でも進の仕事はシステム関連じゃないの?何でパーティーのほうまで関わってるわけ?」

「アプリを立ち上げた時のメンバーの一人が今はパーティー企画に関わってるんだ。今回のキャンセルが本当に急だったから、日程と条件の合う人が見つからなくてさ。それで誰か知り合いに参加できる人いないかって泣きつかれちゃって……。
一年前に比べてアプリの利用者も、パーティーの参加者も増えてきてたんだ。いくら急なキャンセルとはいえ、こんな直前に中止になんて出来ないし、かと言って男女比おかしいのも不自然だろ?姉ちゃんならほぼ条件に合うし、アプリもやってたからと思ったんだけど……」

「大変なのは分かるけど、ごめん進。今回は本当に無理!」

「……普段は滅多に予約の取れない有名イタリアンレストランの個室が取れたんだ」

「……だからね、進」

「タダで高級イタリアンレストランの料理食べ放題、しかもカップリングなし、無理に誰かと話さなくてもOK」

とてもじゃないけど、ただでさえ食べ物が喉に通らないような、こんな気持ちの状態でイタリアンレストランの料理が楽しめるとも思えないし、カップリングなしとは言っても、誰とも話さないわけにはいかないだろう。
前回こうやって同じように進に土下座までされてアプリを始めてどうなった?
行くべきではない。
しかも、ミドウさんに会う前になんて尚更。


「たのむよ姉ちゃん。一生のお願い!他の参加者さんたちを落胆させたくないんだ。助けてください!」


……こういうところ、本当に進のずるいところだと思う。あたしの頼まれたら断れない、お人好しな性格を見抜いてる。

身内の進ならともかく、立ち上げメンバーだの他の参加者さんだの赤の他人のことなんて、それこそどうでもいい話だ。
でもこんなギリギリの日程で、もう頼めるのは身内ぐらいのものだろう。ましてや当日になって人数が合わないなんてことになったら、期待して参加している人たちを始め、アプリの信用問題にもなりかねないだろうことは分かる。

進が提案し、コンペを勝ち抜いて採用されて始まったアプリ。
最近のオススメ婚活アプリランキングにも上位に入っているのは知っている。ここまで出来たのは、進が、責任者の花沢さんや、他の社員さんたちが努力してきたからだろう。
人と人の出会いを手助けしたい、その一心で。

言ってしまえば、ミドウさんに出会えたのも婚活アプリがあったからで、動機は何であれ、進がアプリのモニターを頼んできたから。


「あんたね、一年前もそうやって殊勝な態度で頭を下げて一生のお願いなんて言ったのよ……」

正座をしている進の前で、仁王立ちになって腕を組んで睨みつけるように見下ろし、これみよがしにハァーっと大きなため息を吐いた。
なんでも土下座して頭を下げれば良いってもんじゃないでしょうに。


「……何時から」

「十一時から約二時間の予定です!」

「ちょっとギリギリだから、途中で抜けるかもしれないよ」

「大丈夫、そこは俺が何とかするから!」

「本当に誰とも話さないからね」

「幹事に伝えておきます!はい!」

「もう本当に今回限りよ。これが最後だからね!」

「分かってる。ありがとう姉ちゃん……!」


自分でも馬鹿だなとは思うけれど。
誰かと話すような気持ちの余裕もないし、カップリングしなくても良いなら、それはそれで気が楽でもある。
ただそこにいれば良いだけみたいだし。

「それで?どこのレストランでやるの?」

「聞いて驚け!なんと!「メープルホテル東京」の、あのイタリアンレストラン「アチェロ」でやるんだよ!」


……は?
メープルホテル?
嘘でしょ?!

「やっぱりダメ!行かない!ごめん進、行かない!」

「えっ?それ酷くない姉ちゃん?!今さっき行くって言ったばっかりなのに!」

「メープルホテルなら行かない!絶対に行かない!」

「なんで?!姉ちゃん「アチェロ」行きたがってたじゃないか!そこでタダで食べられるんだよ?!しかも婚活パーティーなのに誰とも話さなくても良いって言ってるんだよ?!正気?!」

至って正気だ、進の馬鹿!
なんでミドウさんに会う前に、ミドウさんが代表を務めるホテルで、よりによって婚活パーティーになんて行けるわけないでしょ!そんなの、絶対に、無理!


「とにかく、無理!今回は本当にごめん!」

「……じゃあ理由を言ってよ。一回は良いって言ったのに、なんで急に駄目なんて言うの?断るなら理由くらい聞かせてもらっても良いよね?」

理由?!
そんなの、言えるわけないでしょーが!

進にはミドウさんとのことは話していない。
花沢さんと進にモニター報告をした時、結婚目的ではないようだと言ったからか彼に関しては何も聞かれなかったし、聞かれないことをわざわざ話したりもしなかった。だからミドウさんが道明寺 司だということも、今こんな状況になっていることも、当然話していない。話せるわけもないけど。
もちろんそんなことを知る由もない進は、ジトッとした、非難するような目つきであたしを見てくる。

「一度行くって言ったことを理由もなく反故にするのって、どうなの?」

「……うっ」

「なんでメープルホテルが嫌なのか知らないけど、詳細を確認しなかった落ち度は姉ちゃんにあるよね?しかも理由もなく断るなんて、社会人としてちょっと……」

行きたくない。
まさか彼にそこで会うとは思わないけど、それでも、何となく行ったらいけない気がする。
確かに詳細を聞く前に承諾してしまったのは迂闊だったけど、だからといって断る理由も言えない。


「……なんで「メープルホテル」の「アチェロ」なの?!」

「それがさ、今回のパーティーは男女共に勤務先が大手企業で収入がハイクラスであることっていうのが参加条件なんだ。だから当然、開催場所もそれなりの所でってことになったんだけど、専務がメープルホテルの社長さんと友達だからって頼んでくれたみたいでさ。すんなりOKしてくれたって」

メープルホテルの社長さんって、それミドウさんのことだよね?!
花沢さんとお友達でメープルホテルの社長さんなんて、考えるまでもなく一人しかいないじゃない……!

何で詳細を確認しなかったのか。一度は承諾してしまったし、断るにしても理由も絶対に言えない。
自分の迂闊さと馬鹿さ加減に呆れるしかなく、後悔先に立たずをこれほどまでに体感したのは初めてで。

でもまさかミドウさんだって、約束の前にメープルホテルに来るわけないと考え直した。
土曜日に会えるってことは、その日は彼も仕事はお休みだってことだよね、と自分を納得させる。

大丈夫。
隅っこで、ちんまりしながら少しだけ食事だけを楽しんで、そして時間になったら待ち合わせの喫茶店に行けば良い。


まさかそんな、偶然でもメープルホテルで会うかもしれないなんて、あるわけない、よね?












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