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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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You belong with me. 18

You belong with me. 18





副社長室の扉をノックすると、中から扉が開いて西田さんが出てきた。

「牧野さん、社長と副社長がお待ちですよ。」

中に促され入れば、応接セットのソファに向かい合って座る2人。
道明寺が何かを書いていて、何だろうと思いつつも声を掛ける。

「楓社長、副社長。お待たせして申し訳ありません。」

ソファの横に立っていると、道明寺に自分の隣をポフポフと叩きながら、ここに座れと言われ、大人しく道明寺の横に座る。
ふと机の上を見てみると、紙が一枚。
何かとまじまじと見てみたら、婚姻届?

「ほら、あとお前だけだから。」
と道明寺に万年筆を渡される。

「あの?」

意味が分からなくてポカンとしていると、

「早く書きなさい。」と楓さんに言われ、それでも誰の名前を書くんだろうとか考えていたら、

「お前の名前だろうが!ここまで来て誰が他のやつと結婚なんかするか!」と道明寺に怒鳴られ。
また心の声が出てしまっていたかと、どこか他人事のようにボンヤリしてる場合じゃない!


「ちょ、ちょっと、あの?!婚約するだけでは?!」
「明日、婚約発表はします。いつ籍を入れるかは2人で決めなさい。」

楓さんはサラッと言うけど、道明寺財閥の副社長が、そんなあっさり婚約、結婚しますってありなの?事前周知とかしないの?
でも、それよりも!

「な?だから明日に婚約発表、明後日入籍にしようぜ。」
「やだ!絶対やだ!」
「やだって、お前、なんでだよ!」

道明寺が声を荒げる。
しまった、楓さんの前で子どもみたいな話し方をしてしまった。慌てて姿勢を正す。

「結婚するのが嫌なんじゃなくて、あの、」

おじさまたちもそのつもりだったと聞いたし、道明寺の記憶も戻ったから、躊躇う理由なんてないんだろうけど!


だって、プロポーズも何もされてない!


それなのに、こんなあっさり仕事みたいな、いつも通り決裁書類にサインします。みたいなのは嫌!

「あなたたち、昨日きちんと話をしたのでは?」

楓さんも今さら何をと言わんばかりに、あたしたち2人を睨む。こっわい。

「したよな?牧野、どうした?」

さすがに道明寺が不安そうに、あたしの顔を覗き込む。
こんなことで意地を、張るべきではない。
なんかなぁ、好きだから結婚するのに、プロポーズもなしに、婚姻届書いて出しておしまい?
昨日、お前と結婚するって言ってくれたけど、あれがプロポーズなの?
実際はこんなもので、あたしがこだわりすぎてる?
それに、両親への挨拶は?
まぁ、うちの両親は小躍りして喜んで、反対なんかしないだろうけど。
この10年、友達らしい友達もいなかったから、恋バナ?とかしたことないし、分からない。


「書きます。」
と万年筆を持ち直して、今度こそ名前を書く。保証人欄は、おじさまと楓さん。
ちゃんとあたしを受け入れてくれていることが嬉しい。
嬉しいけど、プロポーズして欲しかったー!
あたしの名前が書かれ、いつでも出せるようになった婚姻届を、道明寺は大切そうに折りたたみ、スーツの内ポケットに入れている。

副社長、30分後には会議が始まります。」

仕事しよ、仕事。
あたしはスケジュール担当なんだから、遅刻させたらダメ。


「司さん。あなた、つくしさんにきちんと結婚の申込みをして了承を得ていますよね?」

突然、楓さんがそんなことを言い出して、びっくりしてしまう。婚姻届にサインさせてから言う?

「は?」
道明寺がポカンとしているけど、そうです。それです。してません!
今までの話をして、お互いに同じ気持ちなのは確かめたけど。
でも、良いんだ。道明寺も婚姻届にサインしたし。この為に10年間がんばってきたんだもん。
プロポーズくらい、なんてことない。うん。

「楓社長、大丈夫です。副社長、仕事始めましょう。」

そう言って、まだポカンとして首を捻っている道明寺の手を引っぱって副社長室を出る。
もうすぐ会議が行われる部屋は役員フロアより下の階だ。
エレベーターホールに向かい、秘書室の手前まで来たら、高梨さん。

「牧野さん?さっきの話は終わってないと思っていたけれど。」

まだ終わってなかったかー!
あたしの中では終わってるんだけど。と思いつつ、先輩だから無碍にも出来ず。

「あの、以後気を付けますので。」
「気を付けるとか、そういう問題では、」

途中で言葉を切るから、何かと高梨さんの視線を辿って見ると、道明寺と繋いだままの自分の手。
慌てて道明寺の手を振り払う。

「牧野さん?副社長とはどういう関係なのか、はっきりしていただける?」

こわい。高梨さん目が据わってる。

「いや、どういう関係と言われましても。」

もごもごと言葉を濁していると、高梨さんが突然、あたしをドンと突き飛ばし、よろめいている間に道明寺に近付いて腕に手を掛けて胸を押し付けている。
なに?何事?


「副社長、私は5年前に副社長が日本にいらっしゃってから、ずっとお慕いしておりました!牧野さんよりも副社長を幸せする自信があります!」

高梨さんが道明寺に向かって思いを告げる。
道明寺はポカンからの突然の告白に、目が点になってる。
しっかりしてよ!
朝から何事かと秘書課の面々も秘書室から出てきて、事の成り行きを見ている。

誰しも好きな人を幸せにしたいと思うし、一緒に幸せになりたいと願う。
でも、今のはいくら先輩でも聞き捨てならない。

誰よりも道明寺を幸せにするのは、


「司は!10年前から、あたしの男です!
司を幸せに出来るのはあたしだけなので!手を出さないでください!」


ふん!と鼻息も荒く高梨さんに言い返し、道明寺の腕にかけられた高梨さんの手をバシッと払う。
上から道明寺の笑う声が聞こえて、ハッとする。


「つくし。お前、最高!」


そう言って道明寺は突然あたしを抱き上げ、キスをしてきた。
高梨さんもびっくりと言うより、ショックを受けて呆然と顔色悪く固まってる。
仕事中なのにとか、秘書課のみんなが見てるのにとか、あたしのこと名前で呼んだ!とか思うところはあるけれど。


「おい、婚姻届。今から出しに行くぞ!」


え。


「お母さん、明日は婚約発表じゃなくて、結婚発表にしてください。」

え。いつの間に楓社長いたの?!

「あなたたちは、もう少し自覚を持ったほうが良いわね。賑やかが過ぎます。」

そして後ろを振り返り、

「西田!急いでリリース内容変えなさい。」


え。


「ちょ、今から?!15分後には会議が始まりますってば!」

慌てて言い返せば、

「会議には私が出ます。ですが、夕方にはNYへ発つ予定です。早く帰ってきなさい。」
「楓さん!」
「大丈夫です。後のことはこちらにお任せを。」

と西田さんもにこやかに話す。
秘書課の人たちも、騒ぎを聞きつけて役員室から出てきた専務や常務たちも、楓さんがいることに驚きつつ、それでもただ成り行きを見ているしかなく、何が何やらと言う感じ。



あたしは道明寺に抱きかかえられたまま、エレベーターに乗る。

「ちょっと!いつまでこうしてるの?!もう降ろしてよ!」

道明寺の首にしがみつき、足をパタパタさせて抗議する。

「むり!おまえ、最高過ぎて離せない。」
「やだやだ!恥ずかしすぎる!このままなら行かない!」
「自分で歩けてないのに、行かないとかあると思うか?」
「やー!降ろしてー!」

道明寺の背中をバシバシ叩きながら抗議する。もうすぐ1階に着いてしまう。


「牧野、さっき婚姻届にサインするの、何で嫌がった?」

突然、道明寺が静かに聞いてきた。

「だって、」

道明寺の首筋に顔を埋めて、ギュゥっと抱きしめる。
これはあたしの我儘だから。
こんなこと、子どもみたいに駄々を捏ねているようで、恥ずかしくて顔を見てなんか言えないから、道明寺の首筋に顔を埋めたまま、ポツリと小さい声で言ってみる。



「だって、プロポーズされてないもん。」





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コメントありがとうございます。

きな粉様

いつもコメントありがとうございます!
やはりプロポーズは、つくしちゃんも憧れがあるかな、と思いまして。

次は遂に最終話です。
最後までお楽しみいただけたら嬉しいです!

コメントありがとうございます。

クラゲ様

いつもコメントありがとうございます!
確かに、考えすぎる感のあるつくしちゃんが多いかもしれないです。
それはそれで楽しいですが、原作では、F4への赤札返しを始め、楓さんにクソババア言ったりしてますからね。
なかなか大胆な言動をすることありますので、たかだか5年、ただ慕っていただけの女に司を幸せにしてみせるなど、片腹痛いわ!ぐらいの勢いで言わせています。笑
スッキリしてくださったようで、何よりです!

次は最終話です。
最後までお楽しみいただけたら嬉しいです。

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