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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Call out my name. 4

Call out my name. 4




それでも日常は止まることなく続いていく。
今までと違うのは、日を経ずして道明寺が訪ねてくること。
何を話すこともなく、玄関先で事が済めば帰っていく。


今年は残暑が厳しいらしく、真夏日が続く中、あたしは転職活動を始めた。

まずは花沢物産。面接の約束を取り付けて訪ねてみれば、通された部屋に一人、花沢類がいた。
まさか、その可能性は考えてなかった。
だって、転職者の面接に花沢物産の後継者が出てくるとは思わないじゃん。

6年振りの花沢類は、相変わらずの色素の薄い茶色いサラサラした髪の毛で、高校時代よりも少し短くしていたけど、ビー玉のような瞳はそのまま変わらず、優しくあたしを見ていた。

「牧野!」
花沢類が、にこやかに声をかけてくる。
「お久しぶりです」
そう返事を返せば、花沢類はあたしが花沢物産にインターンシップに来たことも、最終選考で落ちたことも知っていたと話してくれた。

そう、あたしは花沢物産に内定をもらえなかったのだ。
美作商事も大河原財閥も同じく内定をもらえなかった。
一度落とされているから、転職先に選ぶのもどうかと考えたのだけど。

花沢物産は非資源分野に強く、特に人の生活に根差した生活消費関連分野に力を入れている。
個人が尊重される社風らしく、人材育成に熱心な会社と言われており、出来る限りその人の能力と希望に沿った人事をしていると言う。それなら、自分の持つ資格でどこまで出来るのか、試してみたい気持ちがあった。


「牧野、道明寺HDにいるのに良いの?うちの最終選考でも最後まで落としたくなくて残ってたくらいだから、来てくれるなら嬉しいよ。資格を見れば能力的にも問題はないだろうし、高校時代だけだけど人柄は俺がよく知ってる。採用するから、うちにおいでよ」

「え、こんな面接で採用決めて大丈夫ですか?志望動機とかは……?」

採用と言われたのに、思わず聞いてしまう。

「牧野だから」

いくら高校の後輩だからと言っても、それが理由で大丈夫か?と不安になってしまう。

「司は?転職するのに何も言わなかったの?」


一瞬、何を、言われたのか分からなかった。
なぜ、道明寺に?

「専務、ですか?」

そう返すあたしに、何がおかしいのか花沢類はクスッと笑う。

「なに、司のこと専務って呼んでんの?」
「はぁ、専務は専務なので」
「ま、良いけど。司も知ってるなら大丈夫か。いつからうち来れる?」

どういうことなのか考えているうちに、話が進んでいる。
ハッとして、事実のみを伝える。

「専務は転職のことは知りませんし、そもそもに会社では関わり合いも、話すこともありませんけど」
「ん?司、知らないの?」
「なんで専務と関係があると?」
「あれ?だって司が…、」

と言いかけたところで顔を逸らし、言葉を濁す花沢類。
なんだろう。少し考えてる風な花沢類だったけど、徐にあたしを見て、

「ま、いいや。それでいつからなら来れる?」
「採用していただけるなら、すぐに退職願を出しますので、大体一ヶ月後くらいには」
「分かった。また詳しくは後日連絡するね」

そう言って花沢類はエントランスまでわざわざ見送ってくれた。
相変わらずの容姿の良さと、花沢物産の後継者がいるということに、周りの人もみんなチラチラとこちらを見ていく。
目立つからやめて欲しいけど、そんなことも言えず、小さくなりながら花沢物産をあとにした。


次の週明けには上司に退職願を出した。
理由を聞かれて、転職先がもう決まっているからと、それで通した。
就業規則に従っているし、まだ入社して1年も経っていない。
そこまで引き止められることもなく、あっさりと転職願は受け取ってもらえた。

これで一つ安心。
次は引っ越しだ。
このアパートも道明寺HDなら通勤に便利だけど、花沢物産までは少し離れる。
このアパートに、愛着も、何もない。

あるのは、あたしの日常と道明寺、だけ。



一度だけ、道明寺が呟いたことがある。

「お前なんか、好きにならない。絶対に」

知ってるよ。分かってる。
どれだけ身体を重ねたって、道明寺はあたしを好きになんかならない。
だから、あたしも何も言わない。

大好きだよ、道明寺。

気が済むまで、好きにしていいよ。
だから、ずっと憎んでいて。
その間だけでも、あたしの側にいてくれるなら。

こんなの間違ってるって分かってる。
でも、それでも。

好きなのをやめられなくて、ごめんね。道明寺。



今日も道明寺は来た。
専務ってそんなに時間あるのか、忙しいイメージなんだけど、と思いながらも、靴を脱いですぐに道明寺に身体を弄られる。
嫌われてると、憎まれてると分かっているのに、道明寺の手に、息に、瞳に、全てに感じてしまう。

気が済むまで好きにして欲しいと思いながら、周りに迷惑を掛けたくなくて、黙っていなくなろうとしているあたしは、なんて狡くて、卑怯な人間だ。

話そうとすると黙れと言われるから、今まで会話もなかったけど、それでも一つだけ聞きたいことがある。
離れる前に、どうしても聞いておきたい。



情事が終わって熱い空気だけが残る中、荒い息遣いを落ち着けて、前だけ寛げていたスーツのスラックスを整えた道明寺は今日も無言で玄関へと向かう。

聞くなら今しかない。
恐る恐る様子を伺いながら聞いてみる。

「専務、あの、……土星のネックレスは、どうしました?」

動きを止めた道明寺は、しばらくそのまま黙っていたけど、大きくため息を一つ吐いて、こう言った。


「……ネックレス?あんなもん、とっくに捨てた」


お前が俺を気持ちごと踏み躙るような真似をしたくせに、あれを今も持っていたのが理解出来ないし、ああいうことをしたお前に、あのネックレスを持っていてほしくない。

お前は、運命の女なんかじゃ、なかった。

今日も黙って玄関を出る。
スラックスのポケットに入っている、土星のネックレスを握り締めて。

一度も振り返らず歩き始めた後ろで、静かに扉の閉まる音がした。




そうか、もう捨てちゃったか。
そうだよね。いつまでも持ってないよね。

道明寺の出て行った玄関の扉が歪んで見える。

泣かない。泣いてない。
頬を冷たい何かが伝う。
これは、涙じゃない。
泣いてはいけない。


あたしの、あの頃の、今までの想いまで捨てられたと思うなんて、気のせいだから。









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クラゲ様

いつもコメントありがとうございます!

もう私の中で類は欠かせませんので笑
これからいっぱい出てきますよ。
花沢物産へ行くのか、道明寺HDを辞めることは出来るのか。さてさて。

土星のネックレスの行方と、つくしちゃんがどうなるのか。
このあともぜひ、お楽しみいただければと思います!
更新頑張りますね〜!

aya様

コメントをありがとうございます!

久しぶりでも何でもご来訪とても嬉しいです!
前作の類も相当拗れてる気もします笑

はらぺこ02は、基本的に道明寺が大好きなつくしちゃんを応援してますので!そこはブレないです。
映像が浮かんでいただけていれば、これ以上の褒め言葉はありません。ありがとうございます!
更新頑張りますね〜!

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