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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Call out my name. 7

Call out my name. 7




「牧野が?」
「はい。一ヶ月ほど前に退職願が出されていたそうで、総務部長が受理しています。退職日は今週末の日付になっていますね。それまでは有給消化して退職です。退職理由は、転職先が決まったからとしか言わなかったそうです」

牧野が、道明寺HDを辞める?

牧野。
またお前はそうやって、俺を置いていく。
俺の気持ちなど、初めから存在しないかのように。
あのアパートからも引っ越して。

予定より早く終わった海外出張に、なぜか逸る気持ちを抑えてアパートを訪ねてみれば、牧野が住んでいたのかさえ、分からなくなるほどに何もなく。
大家に無理矢理開けさせた玄関扉の前で立ち尽くす。

牧野。


いや、牧野に俺の気持ちなど、関係ない。
お前を、牧野を傷付けて、めちゃくちゃにしてやりたかった。
牧野は俺のすることに傷付いた。
だから、俺から離れていった。

それだけ。

俺は、これで満足するはずだった。
そうしたかったはずなのに、どうして、こんな気持ちになる?

どうして、また一人にされたと、置いて行かれたと、感じるんだ。


子どもの頃の自分を思い出す。
親は仕事で忙しく、大きい邸に一人置き去りにされ、他人に育てられたことに幼心は傷付いた。
高校生になっても、運命だと思った女に酷い言葉とともに捨てられ傷付いて。
幼い頃の自分と重ね合わせて、自分は傷付いたと、また一人にされたと自棄になっていたけれど。

それなら今の、この気持ちはなんだ?

牧野も傷付けば良いと思っていたのに、いざいなくなれば、高校生の頃と同じ、置いていかれたと思った、あの日。


自分が傷付いたことばかりに気が向いて、暴れて同じように誰かを、何かを傷付けることで、誰かに止めてもらうのを待っていた。

誰でもいい、俺自身を見ていて欲しくて。
いつも受け身で待つばかりだった、あの頃。


何をやっているんだ、俺は。
今はもう、待つばかりの、一人で何も出来ない子どもではないのに。

出来ることはいくらでもあるはずなのに、過去に縋りつき、大人になっても子どもの頃と同じことをしている。
復讐ばかりに気を取られ、話もさせずに無理矢理体を開かせて、苛立ちだけを押し付けた。
傷付けられたからと、同じことを相手にしていいなんて、そんなことを。

大人になった今も尚、相手が何を思っているのか考えることも話すこともせず、周りが見えていなかったのは、牧野に捨てさせて、置いていかせたのは、
……俺だ。


牧野。
あれは気のせいじゃなかった。
お前は何を思って、俺の名前を呼んだ。
最初に一度呼んだきり、頑なに俺の名前を呼ばなかった。
なのに、あの夜、別れ際。
……最後のつもりで、呼んだのか。


だめだ。

終わりになどさせない。
高校生の頃のように、何もせず諦めるのはやめだ。
俺から離れ、もう二度と会いたくないと思っているかもしれない。

それでも俺は、まだ牧野のことが。



「西田!」
アパート前に停めていた車に乗り込み、指示を出そうとする前に西田が突然話し始める。

「司様、6年前のあの時のことを、お話しさせてください」
「なに?6年前がなんだ?」
「あの日、あの雨の日に、お二人を見ていた使用人頭のタマさんから聞いた話です」

静かに動き出した車の中で、西田は話しにくそうに、あの時、あの後のことを話し始めた。

そして6年前の牧野とタマの話を聞いた時、己のあまりの愚かさに、爪が掌に食い込むほど震える手を握り締める。


嘘、だったのか。
なのに俺は、牧野のことなど、突然別れを告げた牧野に何を思ってそう言ったのか聞くこともせず、言葉そのままを鵜呑みにして。
生まれた家のせいだと、親のせいだと、俺の気持ちを置き去りにして、友達を優先した牧野が憎いと、そんなことを。

あまりにも自分が馬鹿すぎて、笑いが込み上げそうになる。

牧野は自分のことより、他人を大事にするような、優しい女だった。
なんで、そんな大事なことを忘れていたのだろうか。


牧野。
お前は、何を思って俺に抱かれていた。
あの時、同じように傷付いていたはずなのに。
それなのに、どうして言わなかった。
どうして拒まなかった。
どうして、一人で。
どうしてばかりが頭の中を占めていく。


どうしてもなにも。
俺のせい。

一度も話をさせなかった。
昔も今も、傷付いたのは、俺じゃない。

牧野だ。


一気に後悔が押し寄せる。
俺は牧野に、何をした。
いつも、いつまでも、俺は自分のことばかりだ。

牧野。
だから、土星のネックレスを、あんなに必死に探していたのか。
見つけた時、あんなに笑顔で喜んでいた。
お前はあれからも、俺のことを想ってくれていたのか。

それなのに俺は、あんなものと、捨てたと言った。

牧野。
その時、お前はどんな顔をしていた。
振り向きもせず、何も話さず出ていったのは俺なのに。


今すぐに牧野の元へ行きたい。
牧野に、悪かったと言って……、

悪かったと言ってどうする。
俺はどこまでも馬鹿だ。
今さら牧野に何を言う。
女のアイツに、有無を言わさず犯罪紛いのことを、しておいて?
今さらだけど、過去の言葉の理由を知ったから、知らなかった俺を許してくれと言うのか。

そんなこと、許されるわけが、ない。


そう、許されるわけがないと、諦めたら終わりだということを、俺は嫌というほど知っている。

お前の気持ちを知った今、諦めることも出来なくなった。

もしかしたら、もう俺になど愛想を尽かしたかもしれない。
俺を許さないと思っているかもしれない。

許さなくて良い。
許してくれとも言わない。

俺は、諦められない。
もう諦めたくない。
また俺は自分のことばかりだ。

それでも。
まだ牧野から何も聞いていない。
あいつの口から全ての話を聞くまでは、諦めきれない。


そして、もう一度、俺の名前を呼んでほしい。


牧野。
あれは、牧野は、手にすることが出来なかった俺の、唯一の。



「……西田、会長のところへ行く。あとは牧野がどこにいるのか探す」

6年前の話を聞いたあと、黙ってしまった俺を見ていた西田は、その言葉に待っていましたと言わんばかりに口を開く。

「それについては先程、美作様から連絡が。牧野さんは、花沢物産に転職されたそうです。」
「類のところ?類からは何の連絡もないぞ。それに、どうしてあきらが知っている?」
「何があったのか、すぐに調べます。」

「いや、俺が直接あいつらに聞く。今度こそ牧野を諦めない。」

西田は無言で頷くと、どこかへ電話をかけ始めた。


まずは、類だ。
スマホを手に取り、類の番号を呼び出す。
いつもは出ない電話に、すぐ繋がった。

「類か。聞きたいことがある」
『俺は何も話さない。俺は、司の味方じゃない』

だろうな。高校の時もコイツはいつも牧野の味方だった。

「分かった。とりあえず牧野が無事なら、それで良い」

こっちから通話を切る前に切られた。
どこまで牧野から聞いたのか知らないが、類のやつ、相当怒ってんな。…当たり前か。

次はあきらだ。

「あきらか」
コイツはいつもすぐに繋がる。

『司!お前に聞きたいことがあるんだが、』
「牧野のことだろ。牧野は今、どこにいる?」
『それは、教えられない』
「ふん、職場は類のところだろ。相変わらずお人好しのお前は、牧野とは何年も会ってないはずなのに、転職先を西田に知らせてきた。
それに、どこにいるか「知らない」じゃなく、「教えられない」っておかしいよな?今、牧野がどこにいるか知ってるから教えられないんだ。……牧野はお前の家にいるな?」
『来ても会わせないぞ!』

あきらもアホだ。いるって言ったようなもんだろ。

「牧野は俺と会いたくもなければ、話しもしたくないって言うだろうな。しょうがねぇ、牧野が会うって言うまで、お前んちにしつこく行くことにする。」
『……それは、やめてくれ。分かった、俺が牧野に聞いてやるから。それより司!俺は、お前が牧野にしたことは許さないからな』
「なんだ、お前もそこまで知ってんのか。あきら、勘違いするな。俺を許すか許さないか、決めるのはお前じゃない。決められるのは、牧野だけだ」
『……司。俺は、牧野の味方だけど、お前の敵でもないぞ』
「うるせぇ。黙って見てろ」

まだ何か言ってるが、通話を切る。牧野の居場所は分かった。あとは、ババァだけだ。


「一か所、寄ってもらいたい所がある」
運転手に行き先を告げ、ババァのスケジュールを確認。
スラックスのポケットの中で、土星のネックレスを掴み、握りしめる。


牧野。
前に言ったよな?
地獄でもどこへでも追いかけるって。
俺はどこまでも傲慢で、我儘だ。
自分であいつを傷付けて捨てようとしたくせに、何をしているのかと言われても、それでも。

アイツだけは、絶対に諦めない。








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クラゲ様

いつもコメントありがとうございます!
毎回、大変励みになっておりますので、嬉しい限りです!

司は目覚めましたけど、つくしちゃんも自覚が足りませんので、これから目覚めます。
道明寺大好きつくしちゃんの為にも、司には地獄の果てでも追いかけてもらわないと面白くないので笑

ランキングですが、まさかの1位で大変びっくりしております……!
ひっそりこっそりと思っていましたし、ブログを始めて2ヶ月も経ってませんので、このようなことになるとは予想外でした。

本当にいつも応援ありがとうございます!
これからも頑張りますので、よろしくお願いします!

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