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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Call out my name. 8

Call out my name. 8





穏やかだなぁ。
ここが都内とは思えないほど、のんびりゆったりした環境にあくびを嚙み殺す。


倒れて病院に運ばれてから2週間が経った。
あれから花沢類と美作さんに助けてもらい、今は美作邸でお世話になっている。
単純に、ここなら道明寺のお母さんも迂闊に手は出せないと思ったから。
道明寺HDも辞めたし、道明寺とも縁は切れた。関わりがあるとすれば、お腹の子だけ。
あたしの妊娠を知るのは、花沢類と美作さん、あとは美作さんのお母様の3人のみだけど、美作さんのお母様はお腹の子の父親が誰かまでは知らない。
もし6年前の約束を破ったことを道明寺のお母さんに知られても、何か仕掛けてくるなら、あたしにだけだろう。



美作さんのおうちは、とてもメルヘンだった。
洋風のお邸に、秋薔薇がきれいに咲き誇る庭園。お部屋も色とりどりの花があちこちに飾られ、ファンシーな動物のぬいぐるみたちが室内を明るくさせていた。

美作さんのご家族も、お姉さんにしか見えないほど若々しいお母様に、ふわふわと背中に天使の羽が見えるような気がするくらいに可愛い女の子の双子ちゃん。
突然お世話になることになったあたしを、疎ましく思うことなく受け入れてくれた。
使用人の方もたくさんいて、身の回りのことをしてくれるから、今はとても助かっている。
まぁ、あたしの身の上の事など知らないから、突然来て働きもせず、のんびりしているあたしを、どう思っているかは分からないけれど……。


美作邸に匿ってもらったあと、ちゃんと産科にも行かせてもらって、検診もした。
気付かなかったとはいえ、少し無理をしてしまったのと貧血が酷いからと、お医者様に安静を言い渡されてしまい、仕事もせっかく転職出来たと思ったのに出勤日が決められずにいる。
類にも何の心配もいらないから、今は休んでろと言われてしまった。
手続きなど本来は自分で社に赴かなくてはいけないのに、お言葉に甘えてお任せしているのが心苦しいけれど、こればかりは仕方がない。

ただ、穏やかで至れり尽くせりな環境に、考える時間が増えてしまった。

すると、どうしても気になるのは道明寺のこと。
どうしてるかな。もう出張から帰ってきてるはず。
アパートへ行って何もなくなってるのを見て、何を思うかな。

……何も思わないか。
きっと、あたしがいなくなって清々してる。
やっといなくなったかって、職場でも気にすることなく仕事に邁進出来るって、思ってる、はず。
そもそもにアパートにすら来てないかも。

これで、良いんだ。
道明寺だって、いつかはどこかの御令嬢か誰かと結婚するだろう。
もし、その時が来ても、あたしにはこの子がいるから。
それだけで頑張れる。

でも、いつまでも花沢類や美作さんに頼っているわけにもいかないし、いずれはこの子と2人で生きていかなくてはいけない。
その為にも、なるべく早く仕事に復帰したい。
転職したばかりなのに、あと数ヶ月で産休に入るなんて迷惑がかかるのも分かっているけれど。
また花沢類と美作さんに、これからのことを相談させてもらおう。


もう外はすっかり秋めいて、冬の気配がし始めている。
庭園の秋薔薇がよく見える日当たりの良いテラスで、体が冷えないようにモコモコのストールを巻き付ける。
アカプルコのロッキングチェアをユラユラさせながら、デカフェのコーヒーにミルクをたっぷり入れたものを飲みつつ、出社しなくても在宅で出来る仕事とかないかな、なんてそんなことを考えていたら、花沢類が訪ねてきた。

「牧野、元気?調子はどう?」
「花沢類!」

花沢類は仕事の途中なのか、スーツを着ていた。
ライトグレーに細い白ストライプの入った、見ただけで上質だと分かるようなスーツに、ネクタイは無地の濃紺を締めていた。
前から王子様然としていた男だけど、スーツを着ている姿も大人の男として素敵だな、と思う。
思うだけだけど。

「お仕事中じゃないの?大丈夫?」

そう訪ねてみると、花沢類は何事もないように休憩中だから大丈夫だと言う。
休憩中にここまで来るの?と疑問には思うけど、心配して来てくれたことに変わりはない。
つわりも吐くほどではないけれど、常に吐き気がするし、食の好みの偏りも出てきて匂いにも敏感になっている。

「ありがとう、花沢類。多少つわりはあるけど、今のところ問題もないし大丈夫だよ。美作さんのお母様たちも、みんな良くしてくれてる。申し訳無いくらいで…」

だからこそ、いつまでも迷惑かけられない。

「あの、仕事のことなんだけど、」
と話し始めると、それを遮るように類が話し始めた内容に動揺した。

「牧野、道明寺HD辞めてないね。たぶん、司が退職届を保留にしてるんじゃないかな。まだ退職してないから、雇用保険と社会保険の手続きが進められないんだ。だから、はっきりするまで入社日も決められない」

「え?な、んで?どうして、え?!」
「牧野、大丈夫だから落ち着いて」

花沢類が冷静に話し掛けてくるけど、それどころではない。
辞めたと、離れられたと思ったのに。

「ちゃんと、退職願も上司の総務部長が面談して受け取ってくれたし、人事部の人とも話して、退職の手続きをする書類も書いた!」
「うん、分かってるよ。そこまでして退職扱いになってないなら、留められるのは司しかいないだろう。だから今、うちの会社のやつに道明寺HDに確認してもらってるから。ほら、あんまり興奮すると、お腹の子がびっくりするよ?」

そう言われてハッとする。そうだ、あたしはもう一人じゃない。動揺してる場合でもない。

「花沢類、大丈夫。退職出来る。ちゃんと社内規定に則って退職願を出してるし、退職理由も曖昧にしないで、転職先が決まりましたので、ってはっきり伝えてある。これを保留にするのは、違法のはず。ちょっと時間はかかるかもしれないけど、もう一度、退職願を内容証明郵便で送れば、会社は拒否できない」
「牧野、随分詳しいね。元々辞める意思でもあったの?」

花沢類が少し笑った気がしたけど。本当にいろんな資格の勉強をしていたから。

「行政書士の資格を持ってるんだけど、次は社会保険労務士の資格も欲しくて、勉強してたの」
「資格はいくつあっても困らないけどね。どうしてそんなに資格を?」
「……どうしても道明寺財閥で働きたかったんだもん」

まともに顔を見て話すのは恥ずかしくて、そっぽを向いて呟く。
道明寺に少しでも会えたらと思っただけ。

「牧野、あとはうちに任せて。今の牧野は安静にしてないといけないからね」

花沢類はどこまでも優しい。
あたしのわがままに付き合わせてるのに。

「花沢類、いつもありがとう。本当に迷惑ばかりかけて、ごめんなさい」
「あんたは、ありがとうとごめんなさいが素直に言えるんだね。牧野の良いところだ」

花沢類はそんなことを言いながらクスクス笑う。この人、こんなに笑う人だったっけ?

「ねぇ、そろそろさ、花沢類ってやめようよ。もう高校生じゃないんだし、フルネームで呼ぶって変だから。あきらたちみたいに、類って呼んで?」

もうずっとフルネームで呼んでたから、いきなり名前で呼べって言われても照れて恥ずかしくなってモジモジしてしまう。

「いや、いきなりは無理じゃない…?」
「なんで?別に恋人になってとかじゃなくて、名前で呼ぶだけじゃん。ね、つくし」

やめてー!
なんだか面映ゆくて、両手で顔を隠してしまう。
そんな王子様スマイルで名前を呼ばれたら、初恋を思い出してドキッとするし。

「おまえら、何やってんの?」

突然、声を掛けられて振り返ってみれば、いつの間にか美作さんがいた。

「おい、類。まだ仕事中じゃねぇの?」
「あきらもでしょ。なんでいるの?」
「おい!ここは俺んちだぞ。自分の家に帰ってきただけだろうが」
「あきらさん、おかえりなさい」

そう言うと、美作さんはにっこりと笑って、ただいまと返してくれた。
そうすると黙ってないのは花沢類だ。

「なんで『あきらさん』なの?」

ついさっき、名前で呼ぶ呼ばないの話をしたばかりだからか、不機嫌顔で訪ねてくる。

実は、ここ美作邸でお世話になり始めてすぐの頃。
みんなと一緒に食事をいただいている時に、美作さんと呼んだら、お母様も双子ちゃんもみんな返事をしてしまったのだ。
ここが美作家なのだから、当然みんな美作なんだけど。
紛らわしいとのことで、美作さんは必然的に『あきらさん』で決まってしまった。

そう経緯を話すと花沢類は、次はうちに来れば良いと言い始めた。
なんだかおかしくてクスクス笑ってしまう。
2人とも、あたしが落ち込まないように、明るく会話をしてくれているのだろう。

「あきらさん、類。ありがとう」

そう言えば、類はニッコリ微笑んでくれた。
すると、あきらさんが徐に口を開く。

「そうだ、牧野。今週末に司がうちに来るからな」


道明寺が、来る?

美作さんが何気なく、なんてことないように言うから。

「え、あ、うん。じゃああたしは、その間は外に出てる、ね」

動揺して話し方もしどろもどろになってしまった。
どうしても、道明寺の名前を聞くと心がざわついて、落ち着かなくて、動揺してしまう。

「牧野。司がお前と話がしたいと言ってきたんだ。会うかどうか、お前に聞いてからでも良かったが、余計な時間をやるとまたグズグズ悩むだろ。だからこっちで勝手に決めさせてもらった。ちゃんと司と会って話すんだ。逃げるな」









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クラゲ様

こんばんは!
いつもコメントありがとうございます!

クラゲ様は預言者なのか、私と思考回路が似ているのかとビックリしてます笑
司と話し合いをするのかどうなのか、そこらへんは明日更新予定のお話をお楽しみにしていただければと思います!

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ゆめ様

はじめまして!
コメントありがとうございます!

お褒めの言葉をいただきまして、ありがとうございます。大変励みになります!

総つく書きたいんですよ〜!
総つく大好きなんですけど、なにせ茶道家相手ですからね笑
お話の設定がややこしくなりそうで、なかなか妄想が進んでないのですが書きたい気持ちは目一杯なので!その時はぜひお楽しみいただければと思います。

更新頑張りますね〜!

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