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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Call out my name. 11

Call out my name. 11





道明寺と二人きり。
あきらさんと類が出て行ってしまった。
突然の状況に、まずは気持ちを落ち着けなければと、ホットレモネードを手に取り一口飲む。
お互い無言のままの静かな室内に、カップを置く音が響く。


「牧野、」

名前を呼ばれただけなのに、ドキッとする。
いつまでも名前を呼んでいて欲しかったけど、これも今日でおしまいかと思うと胸がきゅうっと締めつけられる。


「牧野、話をしていいか」

「……はい」

道明寺は、あたしから目を逸らすことなく話す。
今までこんなに顔を見て話すことなんて、なかった。


「どうして道明寺HDを辞めようとした?」

「……6年前に、専務のお母様と約束をしました。道明寺家に近付かないと。専務と関係を持ってしまった今、また周りに迷惑をかけるのは本望ではないので」

「お前は、俺が、好きなんじゃなかったのか」


なにを、いきなり。
バレていた?いや、そんなはずはない。
なんでそんなことを聞いてくるのか分からないけれど、今まで会話らしい会話をした記憶もない。
それとも、好きだったら道明寺の気が済むまで体を差し出せるだろうと言いたいのか。

「好きじゃ、ないです。何年前の話ですか、それ。あたしにあんなことしておいて、専務のことなんて好きになるわけ、……ない、ですよ……」

声が、震える。
嘘を付くことに、心が悲鳴をあげそうだ。
本当は大好きなのに、愛しているのに。

あたしはまた、嘘をつく。

震える両手を、道明寺に分からないように膝の上で指を組んで握りしめる。
こんな嘘、顔を見て言えなくて俯く。
道明寺の顔を見たら、きっと泣いてしまう。
こんな話なら早く終わらせてしまいたい。
あたしの本題はこれではないのだから。


「牧野、」

「分かってます。専務が私を憎んでることも、私を好きにならないことも。分かってるから、大丈夫ですよ。それに私が誰を好きかなんて、専務には関係ないじゃないですか」

「関係、ない?」

「はい。専務にはどうでも良いことですよね?専務だって、初めにそう言ったじゃないですか。お前が何を思っていても関係ない、黙って抱かれとけって言ったの、専務ですよ」

「それは、」

「専務。専務も、いつかはどなたかと御結婚されるでしょうに、いつまでもこんなことしてたらダメですよね。
だから話が済んだら、もう会わないほうが……」

「牧野!話を聞いてくれ!」

道明寺が、大きい声を出すから。
顔を上げて道明寺を見てしまった。


なんで?
なんで、そんな泣きそうな顔をしているの。
泣きたいのは、あたしのほうじゃないの?


「……なによ、大きい声、出さないで……」

「……悪い。頼むから、話を聞いて欲しい」


そうだ。
道明寺と話をすると決めたのはあたしだ。
どんな内容でも、まずは道明寺の話を聞かなければ。

緊張でカラカラになった喉を潤そうと、またホットレモネードを手に取る。
もうすっかり冷えてしまったレモネードを一口飲んで、カップをテーブルに置いたのを見た道明寺は、再び口を開いた。


「お前の、土星のネックレスを見つけた時、まさかと思った。二度と見ることはないと、思っていたから」

「……不愉快、でしたよね」

「最初は、そう思った。
俺の気持ちを無視して踏み躙っていなくなったお前に、持っていてほしくなかった。お前は運命の女じゃなかったと思っていたから。
なのに今さら道明寺HDに来て、他の女と同じように俺を見て騒いで。何を考えてたのか知らないが、馬鹿にされてんのかと思った」

道明寺に嫌な思いをさせたいわけではなかったけど、あたしの勝手な想いだけで軽はずみなことをした。
遠くから姿を見るくらい、許されると思ってしまったのだ。


「あれから俺はずっと、お前を絶対に許さないと恨んで憎んで生きてきた。
お前にあんなことをしたのも、俺がされたように、めちゃくちゃにして傷付けてやりたいと、泣いて許しを乞うまで絶対に許してやらないと、そう思って」

「専務、分かってます。あの時はそれだけのことを、専務の気持ちを無視して酷いことを言いましたから。道明寺HDに就職したのも、決して専務を不愉快にさせるつもりではなかったんです……」

「牧野が、花沢物産と美作商事へインターンップに来たという話は聞いてた。みんなお前が元気にしてるのか、ずっと気にしていたみたいだからな。
俺はもう、お前は英徳でのことなんて忘れて暮らしていると思ってた。なのに調べてみたら道明寺HDにもインターンシップに来ていたことが分かった。俺の母親と道明寺家には近付かないと約束をしていたはずが、なぜ就職を希望しているのか分からなかった」

忘れたいと思った。
それでも一日たりとも忘れられなかった。
忘れたくなかった、が正しいけれど。
また道明寺に会いたい。それだけで就職した。


「英徳では短い期間だったが、お前に赤札を貼ったり手下使って襲わせたりしたからな。まわりを巻き込んで、あんな形で英徳を辞めていったし、俺に復讐でもするつもりなのかと」

全然違う。復讐なんて、一つたりともない。
まさか、そんな風に捉えられていたとは。

「それなら俺も、お前にいつかまた会うことがあったら復讐してやろうと思っていたから、あきらたちに有無を言わさず、うちだけ内定を出すようにした。復讐の為に来るなら、俺に近付きやすい道明寺HDだろうと。
系列の子会社もいくつか受けていたみたいだが、他を全て内定を出さないのは不自然だからな、少しは内定を出すように操作したが」

類が言っていたのは、このことだったのか。
まさか就職まで圧力をかけられていたとは思わなかった。
道明寺は、あたしに復讐するつもりで内定を出したと言っている。
でも、それならなんで類は道明寺とあたしがよりを戻すと思っていたのだろうか。
この疑問がまた頭をよぎるけど、2人の言っていることが正反対過ぎてよく分からない。


「土星のネックレスを見つけた時に、混乱した。なんであるのかと。お前は俺に好きじゃないと言っていなくなったのに。なんでまだ持っているのか、聞いてやろうと思って会議室まで戻って…、それなのに、あんなに笑顔でお前は…、」

道明寺は一度言葉を切ったけど、また話を続ける。

「夜に、牧野の知り合いなら迎えに来いと電話が来た時、何が目的で道明寺HDに来たのか今度こそ問いただしてやろうと、そのつもりで迎えに行った。住所は履歴書見れば分かるからな。秘書の西田に調べさせた。」

田中さんたちと飲みすぎて寝てしまった時のことだ。
こんなことになるとは思わず、居た堪れない気持ちになる。


「その時に、お前があの頃と同じように俺の名前を呼んだんだ。……道明寺と。
専務じゃなく道明寺と呼んで、そして、……まだ、好きでごめんって、言った」


なんてことを言ったんだ、あたしは。

電話が繋がるとは思っていなかったとはいえ、酔って寝ていた状態で迎えに来させ、家まで送らせて、あまつさえ呼び捨てにした挙句、本人に好きだと言った?
まさかそんなことを言ったとは思わず、血の気が引いていく。


「わけが分からなかった。あの、6年前の言葉は何だったのか、土星のネックレスと、お前の言葉をどう捉えたらいいのか分からなくて、なのに俺が迎えに来たことにも気が付かず呑気に酔って寝ているお前を見ていたら、それでも復讐してやりたい気持ちが大きくなって、意識のないお前を、……無理矢理抱いた」

「お前が俺を専務と呼ぶ度に、なぜかイライラが止まらなくて傷付けてやりたくなった。だけど同じくらい別の何かが湧き上がってきて、それが何か分からなくて余計にイライラして、またお前に乱暴なことをして。
それでもお前は俺のすることに何も言わなかった。拒否しなければ泣きもしない。だから、もうこのまま傷付け続けて、ボロボロになったら捨ててやろうって、」

そうでしょう?
きっと道明寺は、そう思ってると。だから、何も言わなかった。
あたしは何をされても構わないと思っていたから。
そっとお腹に手を当てる。


「海外出張は、いい機会だと思った。牧野を傷付けてやりたいと思っているのに、出張が決まった時、これ以上お前を傷付けなくて済むと、なぜかそれでホッとしたんだ。この矛盾が何なのか分からなくて、……とにかく何かを考えたかった」

それでも道明寺は、ずっとあたしを見つめたまま、話し続ける。
なぜか目を逸らしてはいけない気がして、あたしも道明寺を見つめたまま視線を動かすことが出来ない。


「出張から帰ってきて、お前があのアパートからいなくなっているのを見て初めて気が付いた。「道明寺」とお前だけの呼び方を聞いた時から、あの頃の気持ちがずっと俺の中に残っていたことに」


道明寺は今、なにを、言った?


「俺は、恨んで憎んでいるのに、同じくらい牧野が好きなんだ。どうしようもなく、好きになるのを止められない」


なんで、どうして。
道明寺は、あたしを憎んでるって言ったのに。
あたしに復讐したいんでしょう?
だからそれを終わらせたくて、ここから一歩を踏み出そうと、決心したのに。
なんで今、そういうことを言うの?
なんで、


「今思えば、恨んでいたいのに、憎いはずなのに、お前を抱けば抱くほど好きになっていくのに気付いてなかった。
好きだから、めちゃくちゃにしてやりたいと思っていたのに、これ以上お前を傷付けたくないと思うんだ。
俺が黙れと言ったのは、お前が、……牧野が、道明寺と呼ばずに専務と呼ぶことに苛ついてたからだ」



嘘だ。
こんなことになるなんて、まさか、こんな、道明寺が。
どうしたらいいのか、分からない。
分からなくて、ただ首を横に振ることしか出来ない。
言葉も、喉がつっかえて、出てこない。


「牧野。俺のしたことを許さなくていい。もう二度と、お前を傷付けるようなことは一生しないと誓う。
母親にも、何もさせないと約束させた。
俺のことを、好きじゃなくてもいい。
それでも、俺の側にいてほしいんだ。まきの、」


「またあの頃のように、俺の名前を呼んで、側にいてくれ……」



名前を、呼んでいい?


ずっと呼びたかった。
でも呼んだらいけないと、あの頃とは違うのだと、一線を引かなければ復讐を求める道明寺に、許しを請いてしまいそうだったから。
謝ることも、泣くことも出来ないあたしには、そう戒めをするしかなかった。

呼んだらもう、止められない。
涙も、気持ちも、何もかも。
きっと全部あふれて出てきてしまう。
こんな都合のいい話があるわけないと思うのに。
口元に手を当てて、声が出ないように押さえても、もう遅かった。


だって、道明寺が、呼んでって。



「どう、みょうじ…、」


「道明寺、」

「道明寺、好きなの…、」



一度言ってしまえば、涙も、気持ちも、溢れてしまって止まらない。
もう、涙で道明寺がボヤケて見えない。
頬が涙で濡れていくのが分かる。

それでも、もう止められない。


「ずっと、ずっと好きなの。どうしようもなく、好きなの」

「牧野、」

「道明寺、ごめんなさい……!あの時、嘘ついて、傷付けて、ごめんなさ……、」


涙も、好きも、後悔も。
何もかもが溢れてきて、うまく話せない。
ちゃんと、謝らないと、いけないのに。

「牧野!」

道明寺があたしの前に跪き、口元で震えるあたしの両手を取り、膝の上で包むように握りしめる。
道明寺の、二度と触れることは叶わないと諦めたはずの温もりが、もう自分でさえも止められないほどに、堪え切れずに溢れ出す。


「憎まれても、恨まれても…、それでも、好きなのやめられなくて、ごめんなさい……!」

「違う、牧野!」

「また、誰かに迷惑掛けたくないのに、道明寺に会いたくて、会社まで、ごめんなさい……っ!」

「謝るのは、俺なんだ。あれは、あの時の俺は、お前に頼りにされるような力は何もなかった。なのに、嘘までつかせて、お前一人で辛い思いをさせて、悪かった……!」

「道明寺ぃ……っ、」


「俺が、俺がバカだったから、だから、牧野。頼むから、
もう俺を諦めないでくれ……!」



道明寺に隙間などないほどに、しっかりと抱きしめられて、再会してから初めてお互いに正面を向いて抱き合っていることに気が付く。

ずっと欲しかったこの人のぬくもりが、我慢も躊躇いもなくしてしまう。

今までほとんど触れることのなかった体温に、
懐かしさと愛しさの混じるコロンの香りに、
あたしも道明寺の大きな背中に手を回して、しがみつく。



そしてそのまま涙も声も抑えられずに、しばらく泣き続けていた。










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クラゲ様

こんばんは!
いつもコメントありがとうございます!

11話は、もう悩みに悩みまくった回でした。
書いては消しの繰り返しで、当日お昼頃までパソコンとにらめっこしてました笑

人を好きになるのに、ごめんなさいと言わないといけないなんてことはないんですけどね。
それが文を通して伝わっていたなら嬉しい限りです。
2人の想いは通じ合いましたが、問題はまだ何も解決してないので笑
このあともお楽しみいただければと思います!

更新がんばります!

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