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花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。

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Call out my name. 15

Call out my name. 15






「あの、道明寺?」

なんだ?」

「なんで、あたしの荷物が全部ここに?」

「何を言ってんだ、お前は。俺の子どもがお腹にいるのに、いつまで他の男の家で世話になるつもりなんだよ」



先輩と話をしたあと、道明寺とお夕飯を一緒にいただいて部屋に戻ってみれば、美作家に置かせてもらっていたあたしの荷物が全て運ばれていた。
いつの間に?!まだ道明寺と和解してから、数時間しか経ってないけど!

「それはそうかもしれないけど……。あきらさんのお母様に、ちゃんとお礼言ってからにしたかった……」

そう道明寺に言うと、少しバツの悪そうな顔をしつつも、また後日改めて二人でお礼と挨拶に行こうと言ってくれた。


「牧野」

名前を呼ばれて道明寺を見れば、真面目な顔であたしを見ていて、ソファに座るよう促される。
あたしの隣に道明寺も座り、手を取り顔を見合わせる。


「話をしよう」

「うん」

「具合が悪くなったら、すぐに言えよ」

「うん」


話すと言っても、どこから話すか悩んでしまう。
まずは、こうなったそもそもの始まり、6年前から話すことにしようと、ぽつぽつとお互いに話し始めた。
あの雨の日に、あたしに何があったのか、どうして嘘をついたのか。
道明寺も、あの後の気持ちや、その後どうしていたのかを話してくれた。

そして、再会してからのことも。

「牧野が就活してる頃、俺はNYにいたから、そのことは知らなかったんだ。
類やあきらたちには年に数回、NYまで遊びに来た時や、俺が日本に一時帰国した時に会ってた。
あいつら、俺の前では滅多に牧野の話はしなかったんだけどな。ある時、類が牧野をインターンシップで見たと言い出した。そしたら、あきらも美作商事に牧野が来たと言い始めてな」

「行ったね。でもあきらさんも類も見かけなかったけど。大河原財閥だけはスケジュール合わなくて行けなかったの」

「みんな牧野の持つ資格の多さに驚いてた。大学も首席ではなかったが、かなり良い成績で卒業してるな。道明寺HDの入社試験もトップクラスの成績だった」

「それは、……どうしても道明寺財閥か、財閥系列に就職したくて必死だったから……」

「俺に会いたくて?」

そうだけど!
本人に図星を指されて恥ずかしい気持ちと、それを本人が言うなんて自惚れでしょ!っていう責めたい気持ちが入り乱れる。

「それは、……そうなんだけど。別に、あんたとどうこうなりたいとかなくて、単純にアイドルの追っかけ的な……、道明寺のファンをやっていたと言うか……」

これは言わなくても良かったかも。
言いながら恥ずかしくなってきた。

「それなのに俺は、お前が復讐に来たと思ったわけだ」

「あたしも浅はかでした……」 

「電話番号」

道明寺が唐突に言うから、一瞬なんのことか分からなかったけど、あの酔いつぶれた日の話だと思い当たる。

「まさか、まだ繋がるなんて思ってなかったの。二度とかけることもないだろうし、忘れられない想い出に、取っておいただけなんだけど……」

「あれから番号変えてねぇんだ。あの番号を知ってんのは、家族と類たちしかいない。あとは牧野、お前だけ。
今時、間違い電話もほとんどないからな。登録されてない番号からかかってきたのは、あれが初めてだった。間違いも否定出来なかったけどな、出てみたら……」

あれがなければ、今こんな風に話すこともなかっただろうけど。

「牧野……悪かった…。いま考えてみても、酷いことをした。意識のないお前をどうこうするなんて、狂気の沙汰だ。訴えられても仕方のないことをした」

「そうだね。でも、今こうならなくても訴えたりしなかったよ、きっと。そのつもりなら、始めにもっと抵抗してる」

「牧野、」

「馬鹿だよね、あたしも。乱暴にされてるのに、相手が道明寺だって言うだけで、何されても良いって思っちゃったの……」

重ね合わせていただけの手を指を絡ませて、握れば、道明寺も優しく握り返してくれる。

「俺は、本当に高校生の頃から変わってなかった。社会に出た大人がやることじゃない。どうする?今からでも訴えるか?」

「しないよ。この子の父親を犯罪者にするつもりもないし、訴えるとかそういう話でもない。そもそもに、そういう問題じゃないでしょ。他の女の人にも、そういうことしてたら……、ちょっと、あれだけど」

「しねぇよ!お前な、いや、そう言われても仕方ねぇんだけどよ……お前だけだ」

お互いに顔を見合わせて苦笑いする。


「あたし覚えてないんだけど、道明寺の名前、呼んだのね」

「まだ好き、とも言われた時な。あの時は一瞬、高校時代に戻ったような感覚になった」

頬が赤くなってる気がする。
知らなかったけど、あたしは酔うと、とことん饒舌になるようだ。

「しょうがないじゃない。あんたみたいな人間、他に会ったことないもの。あのあと道明寺のことを忘れようと何人かとお付き合いもしたんだよ。でも……、何もかも、あんた以上の人はいなかったの……」

「……お前と話をするのは怖かった。
何度も乱暴なことをしておいて、今さら好きですなんて、どの面下げて言えるのかって。高校生の頃を思い出してみても、随分と酷いことをお前にしてるんだ。なのに、なんでそこまで俺を想ってくれているのか……。だから、もう俺は牧野には絶対許してもらえないと思って……」

じっと道明寺を見る。目を逸らさずに。


「……そうだね、許さないよ」


許さないと言った瞬間の、道明寺の動揺したような後悔の混ざった瞳を目に焼き付けたくて。


これは、あたしだ。
身体を乱暴されて付けられた心の傷と、言葉で付けられた心の傷。
どちらも傷付いた。
どちらの傷が酷いかなんて、比べるものではない。


「道明寺を一生、許さない。だから道明寺も、あたしを許さないで」

「牧野……?」

「道明寺。この子がいなければ、あたしたちはお互い話もせずに、ずっとあの時の後悔の中で生きてたと思う。
だから忘れたら、ダメなの。お互いに付けた傷を、後悔を。
この子は、あたしたちの未来だよ。この子が、あたしたちと同じような傷を、誰かに付けさせたらいけないの。」

道明寺と重ね合わせて握っていた手を、一緒にお腹に当てる。

「傷の舐め合いをするんじゃなく、許してほしいと思いながらでもなく。
あたしは、道明寺と幸せになりたい。この子と一緒に、幸せになろうよ。一生、死ぬまで幸せになるの。そしたらきっと、許すとか、許さないとか、それを越えていける気がするの」

「牧野」

「辛い時は辛いって言える、そんな関係になりたい。もう隠したりしないで、嘘も付かないで、信用して、信頼されるような、何でも話せる関係に……」

道明寺の温かい大きな手が、あたしの頬に触れる。
少し前まで、あんなに冷たいと思っていた涙も、道明寺の手で温かいものに変わっていく。


「道明寺……愛してるの…」

「牧野……!」

「あたし、知ってるよ。高校生の頃から、本当のあなたは、真っ直ぐで、穏やかな、優しい人だって……。だから、ずっと好きなんだよ……」


たぶん、道明寺も泣いている。
あたしをぎゅうぎゅうに抱き締めてるから顔は見えないけれど、僅かに震える体がそれを伝えてる気がして。











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